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特集 世界から見た日本の靴輸入

ポルトガルの靴・皮革製品組合であるAPICCAPS(アピカプス)は毎年、世界の靴の生産、流通状況をまとめたアニュアルレポート「World Footwear Yearbook」を発行している。また、本誌では輸入通関統計から、わが国の靴輸入動向を年度ごとの集計している。この二つのデータをもとに、日本市場の視点から、日本の靴輸入の状況や世界と比べた日本の靴消費の特徴を見る。
 なお、「World Footwear Yearbook」では、日本の主要輸入相手国の一つであるミャンマーのデータは入っていない。

「World Footwear 2016 Yearbook」(以下「16年イヤーブック」)は2015年の世界79の国・地域の靴産業のデータをまとめている。日本の靴輸入のデータ(以下「15年度日本データ」)は、15年4月から16年3月までの15年度の輸入通関統計から集計している。

 生 産

「16年イヤーブック」では、全世界の靴生産足数は230億足(前年比4%減)だった。
 地域別に見ると(図表1)、全世界の87%はアジア各国で生産されている。2番目はブラジルを中心とした南アメリカになるが、世界シェアの5%に過ぎない。
国別では(表2)、アジアのなかでも中国が圧倒的で、世界の靴生産の59%、135億足と半数以上を生産している。ただし、生産足数は5%減少という結果になっている。
生産の上位10ヵ国中、アジア諸国が8ヵ国登場しており、アジア以外ではブラジルとメキシコが入っている。当期10位には、前期のイタリアを抜いてタイが入っている。
日本の生産足数は7700万足。これは、79ヵ国中、第20位となる。アジアの中では10位にランクされる。




 消 費

「16年イヤーブック」では、国内生産と輸入規模から輸出足数を引いた数字を、国内消費の足数として地域別に集計している(図表2)。ここでもアジア地域がトップの53%のシェアである。人口が多いことで、消費も多くなっている。
つぎはヨーロッパと北アメリカが同数で、世界シェアは16%である。続く南アメリカとアフリカはそれぞれ7%の世界シェアに。
国別消費足数(表3)を見ると、人口トップの中国で38億足、全世界の18%のシェアである。2位が米国で21億足、11%シェア。これを国民1人当たりの消費足数で見ると、中国の2・8足に対して、米国は7・6足とおよそ3倍近い消費足数となっている。日本は6億6000万足で、世界第6位の消費規模である。
この数字を、国民1人当たりの消費で見ると、足数ランキングトップ10のうち、国民1人当たりの消費足数が最も多いのはイギリスの8・6足、次が米国。日本はドイツよりも少ない5・2足となる。



 輸 出

 地域別、国別の輸出実績を見る
15年に年間で輸出に回った足数は142億足。生産量の多いアジアが最も多く、全世界に輸出された足数の84%がアジアからである。
次に多いのがヨーロッパからで、輸出全体の13%を占めた。生産ではわずが4%のシェアにとどまったが、自国消費より輸出に向けられるモノが多い多いことに加え、海外で生産した靴をいったん国内に入れ、再び輸出するという再輸出の割合も多いことが背景にある。輸出ランキング上位ではベルギーとドイツ、英国がこの数字だ。アジアでは香港の輸出規模が生産規模を上回っており、データは再輸出のデータだ。
輸出データになると、日本は寂しいものになる。年間200万足という規模は、世界では60位にも入らない。日本と生産規模でほぼ同じのポルトガルと比べても、輸出足数は40倍近い開きがある。日本の靴産業が輸出に目を向けずに来た結果であろう。



 輸 入

 地域別、国別の輸入実績は表の通り
 最も輸入量の多い地域はヨーロッパで、次は北アメリカとアジアが同じ割合。輸入シェアの推移を2010年と比較すると、北アメリカとヨーロッパが4〜5%シェアを下げており、代わってアジアが5%シェアを上げている。
 国別に見ると、消費足数が1位の中国はランキング入りせず、2位の米国が1位の輸入国となっている。ヨーロッパ各国が上位を占めるが、これは自国消費だけでなく、再輸出のための輸入も含まれている。
日本の輸入は世界第4位の規模にある。このほとんどが自国消費のための輸入で、その割合は消費する靴の9割近くを占めている。