今月の記事・ピックアップ 2017・2
 HOME > フットウエアプレス > これでロングセラー 「菊地の靴」
これでロングセラー 「菊地の靴」

オーダーから生まれた木型採用

 ダイナス製靴の創業は1949年で、今から67年ほど前のことになる。フルオーダー靴からスタートし、後に既成靴に転じた。得意とするのは婦人靴のエレガンスラインである。
 ブランド名は創業者である菊地武男氏の名から命名され「菊地の靴」。全国の百貨店、専門店、通販サイト「ライトアップショッピングクラブ」で販売されている。モットーを、「はきやすく美しい、歩くことが楽しくなる靴をつくる」ということに置いている。はきやすさの秘密はオーダー靴から生まれた独自の木型と、多用されている柔らかなシープスキンにある。ファンを多数抱え、「菊地の靴はうちの売れ筋」「素材がよく、はき心地がいいのでリピーターにつながりやすい」という専門店や売場からの声も多い。
 製造は基本的には自社工場で行い、製甲工程のみ外注していて、メイドインジャパンの姿勢を固く守り続けている。この部分にも、信頼感を置くファンが多い。パターンオーダーからフルオーダーまでの受注もあり、こちらは全工程を自社内で行う。
 ロングランには数タイプあるが、いずれも20年前後の歴史を持つ。アッパーに4本のベルトがついているサンダルは、1996年からのスタートだ。ベルトによってフィット感が生まれ、6cmヒールの高さを感じさせない。そのヒールにも、エレガントなカーブがついている。型番は「512−00」。512が木型の番号で、00がデザイン番号となっている。このサンダルは17年春夏シーズンの新しいモデルだが、デザインは最初のときと変わっていないのだ。4ストラップのサンダルは、年ごとにカラーや素材を変えて受け継がれてきた、まさにロングセラーといえる。来春夏シーズンは、メタリックな輝きを持つ型押し素材で提案している。
 もうひとつのアッパーに2つのベルトがついたサンダル「532−02」には、「ふかふかサンダル」という別名がついている。これは98年からのモデルで、低反発と高反発の2種類を組み合わせたインソールを使い、アッパーには甲革と裏革の間にスポンジが入っていて足当たりを良くしている。これまではシンプルなカラーでの提案だったが、来春は箔押し素材を使用してリニューアル提案する。

今後はオーダー靴をさらに強化

 ダイナス製靴は、今年4月から本社をリニューアルし、現在倉庫と事務所になっている一階部分にオーダー靴を受注する「相談室」を兼ね備えた直営店を開く。これまで以上にオーダー靴に注力しようというのだ。現在受けているオーダー靴は月に10足くらいだが、すでに3D自動足型測定器を導入、木型もCADで削るなどして効率化を目指している。また、百貨店に出張してオーダーシューズの受注会を開催しており、「つくり手の背景のある、自分だけの一足」を強化していく方針だ。