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女子力が動かす アマガサ 商品企画チーム

基幹ブランド「ジェリービーンズ」を動かす

 アマガサ(東京・台東区)には、12人のメンバーからなる商品企画部がある。佐々木敦江(あつえ)さん、奥村奏(かなで)さん、武川優衣(むかわ・ゆい)さんの3人は、ここでデザイン企画を担当している。
3人の仕事の内容はそれぞれ違っている。佐々木さんは百貨店向けの「ジェリービーンズリッシェ」とモードの香りのする「ソンシックトーキョー」の2つのブランドの企画を担当。商品は平場からコーナー展開まで全国20数店舗に入っており、店舗に合わせて担当営業と相談しつつ、必要な時期に納品していく。
佐々木さんは新卒で入社後、6年半勤務し、結婚を機に退職。他社での勤務を経て5年前に復職。現在は中学3年生と小学6年生の2人の子供の母親でもある。
「子供が小さいころは病気などで休まなくてはならないこともありましたが、周囲に助けられてここまでやってきました。アマガサには現在産休・育休中の社員が7名いて、これからも増えていきそうです」(佐々木さん)。
奥村さんは、美術大学でグラフィックデザインを学び、入社して4年目となった。仕事では、卸事業部の基幹ブランド「ジェリービーンズ」の海外生産向け企画を担当している。海外生産・インポート商材はラストや中敷(木型、クッションなど)から開発することも多く、「こういう商材がほしい」という店頭の声に合わせて、先行商品をつくることもある。イチからつくりこむため、個人としての企画点数は抑え気味で毎シーズン10型程度。
武川さんは入社3年目。同じくジェリービーンズの国内メーカー向け発注企画を担当している。年間8回も開かれる展示会向けに、4人のチームで各100型の新作を発表している。武川さんの担当は20型くらい。
「3年間、エレガンスからカジュアルまで、バラエティ豊かなモノづくりをしています。思い描いた通りのサンプルが上がってくると嬉しいですね。商品によって、この素材を使ってよかったなと思うときも。毎回自分の目で思いが確認できることが、やりがいにつながっています」(武川さん)。

大まかな方向性を決め、チャネル別チームが企画

企画全体の流れは、8人のチームでシーズンの方向性を話し合うことから始まる。取材時の4月半ばには、17年秋冬のテーマが話し合われているところだった。パリ、ニューヨーク、ミラノのコレクションを見てエッセンスを汲み取り、市場背景や顧客ニーズを重ね合わせ、トレンドを考えながら進行し、最終的に1つのマップを完成させる。17年春夏は「ガールズパワー」をテーマとしたが、このように「ジェリービーンズとしてどんなテーマにし、方向を一つにしていくか」を考える。
その後、チャネル別(卸、百貨店、マルイ、直営店)ごとのチームに分かれてそれぞれ商品企画に入り、秋冬に向けては、はやいものでは5月初めにサンプルがあがってくる。基本的に、卸と直営店のチームはともに動き、百貨店、マルイのチームはそれぞれ別に動く。
「全体での打ち合わせは3〜4回くらい。でも、みんな同じ部屋にいてしょっちゅうコミュニケーションをとっていますから、すぐ相談できます。企画のメンバーが、夕方や週末などに店頭に立って、直接お客さまの声をきき、月曜日の朝礼で話し合うことも。そんなことも、企画の参考になりますね」(奥村さん)。
佐々木さんは40代、奥村さんと武川さんは20代。佐々木さんはやや大人向けのラインと新ブランドを、20代の二人はジェリービーンズ基本ラインを担当しているが、いずれも顧客ゾーンとまさに同様の年代であり、それぞれの目線が生きている。
最後に、3人それぞれ、別の人の目にどう映っているのか聞いてみた。すると、「佐々木さんは頼れる先輩でエレガンスの先生。色の展開が上手で、企画している『ソンシックトーキョー』ブランドは、自分でいつも買っている」(奥村さん)、「奥村さんはまじめな人。うわべだけの判断ではなく、なぜそうしたかの道筋まで教えてくれる。どういう企画か、話し合う機会も多い」(武川さん)、「展示会でのサンプルアップ点数が多いチームで、年8回の展示会の準備をしなくてはならないときにまとめ役、リーダーになれる人」(佐々木さん)と、それぞれがきちんと人物評価し、認め合っていることがわかる。
市場の流れがスニーカーからエレガンスへ、「かわいい」レディス靴へと戻ってきつつある中で、ジェリービーンズの存在感は増している。店頭を明るく飾るジェリービーンズの靴は、彼女たちから生まれている。

アマガサ
東京都台東区浅草6−36−2
TEL:03−3871−0111