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仕入れガイド「大阪の靴」


好調ミセスカジュアルで存在感を示す

メーカー数は30社。
大手で日産500足規模

日本の靴メーカー、卸の集積する靴産地といわれる地域は、その生産足数の規模から、神戸、東京、大阪が挙げられる。こ中の大阪の産地は、一般には西成・大国≠ニ呼ばれており、西成区と浪速区一帯にメーカー・卸が散在している。
 協会団体としては、メーカーで組織される大阪靴メーカー協同組合がある。卸団体では大阪靴卸協会が組織されている。現状では、大阪のメーカーの数は30社ほどあると言われているが、メーカー組合のHPに登録されているメーカーの数は20社を切っている。卸協会は10社に満たない組織となっている。
1995年当時は50社を超える企業が集まり、合同見本市を開催していたが、その後の倒産・廃業の続発や団体への加入率の低下もあり、両組織とも規模は小さくなっている。このため、展示会も個展が主流になっている。
 3番目に挙げられる大阪メーカーの生産規模は、大手メーカーの中には、日産1000足ほどの生産能力を持っているが、現状では日産400〜500足、中小メーカーで100〜200足と見られている。大阪全体では、かつては日産2万足以上あったが、現在は8000足程度といわれている。
婦人革靴卸のキタはメイド・イン・ジャパン飲みで展開しており、職人を抱え、メイド・イン・オオサカの商品を手がけるところが多いが、中国を中心に生産を海外に移すところもある。また、海外に独資のメーカーを設け、国産と同レベルの商品づくりに取り組むメーカーもある。

フレキシブルな底材の、
快適カジュアルが得意

 市場で婦人のエレガンス商品が低迷しているなか、ミセスカジュアルは安定した動きを見せている。このミセスカジュアルを得意とするのが大阪の産地であり、「ミセスのカジュアルは大阪商品が全国を席巻している」という大阪の問屋もいる。
 このミセスカジュアルを中心とした大阪商品の特徴は、第一に「はきやすく、値段が安い」ことが挙げられる。
 はきやすさについては、素材の柔らかさに加え、フレキシブルな底材を使ったモノづくりがある。こうした素材や底材の開発に熱心な体質が大阪メーカーには備わっている。ほかの産地では嫌うような、ソフトな革を積極的に使っている。また、年間2、3個のオリジナルの底を開発しており、ウェーブソール∞シャークソール≠ニいったソールを開発、いち早く採用してきたのも大阪メーカーだ。
 価格については、ケミカル素材で5000円まで、革では2万円止まりと言われている。ほかの産地の革靴では、2万円以上の製品もあるが、工賃の違いもあり、メイド・イン・オオサカの革靴は、1万円前半が主力だ。

小回りが利く供給、
OEM展開も可能

 ヒールパンプスも含め、カジュアルテイストの市場は今後も続く。とくに、ミセスやその上の元気なシニア市場に向け、コンフォート系のウォーキングやカジュアルは今後も有望商品である。こうした商品にケミカル、革の両方で対応できるのが大阪の靴だ。
 これまで大阪の問屋の多くは、西日本を中心に取引先を開拓してきた。最近は市場のカジュアル化のなかで、全国にエリアを拡大しているが、東日本エリアには未開拓市場は残されている。こうした市場の小売店に対し、クニモト商事では「下代取引のOEM対応も可能」という。同社では、現状でも小売店のOEMが4割を超えている。これほど小回りが利くのも大阪の靴の特徴だ。
 企画・卸のアンデックスは、婦人のオリジナルブランド「コカ」の展開で、専門のデザインチームを設け、店頭のPOPやウエブ上で、靴とアパレルのコーディネイトを1点ごと、具体的に見せることを始めている。これまでのマス媒体による販促だけではない、新しい売場サポートもの取り組みだ。