今月の記事・ピックアップ 2017・7
 HOME > フットウエアプレス > 女子力が動かす オギツ
女子力が動かす オギツ「イング」チーム 商販一体のチーム力で誰もが納得できる商品を販売する

FA会議で共有するブランドの方向性

 婦人靴の企画・卸として今年5月に65周年を迎えたオギツ(東京・台東区)。現在、オリジナル11ブランド、ライセンス3ブランドの合計14ブランドを展開している。その中の基幹PBとして30年以上の歴史を持つのが「イング」である。
イングの商品開発はFA(ファッションアドバイザー)会議からはじまる。FA会議とは、デザイナー、営業スタッフ、販売スタッフといったイング商品に関わる全部署のスタッフが集まって開く会議のこと。商販一体となってよりよい商品を提供し、お客によりよい満足感を得ていただこうという意図から始まった。
 年4回の展示会を起点に、前季の振り返りからスタートする。それを踏まえてサンプルを試作する。サンプルが上がってきた段階で、サンプルを見ながら新作についての会議。その後、会議での意見を踏まえ、商品を絞り込んだり、修正を施したりして新作がより明確になってきた段階でさらに会議を開く。素材や色展開などを話し合う。そして、最終段階の会議で色を絞り込み、打ち出し商品を最終的に決定する。
「この会議は、基幹ブランドとしてどういう思いでつくっていくかという、みんなの意識統一を図るというねらいがあります。デザイナーにとって現場の生の声は本当にありがたいこと。どんどん新しいものに挑戦していきたいと思っていますが、それがお客さまに喜ばれるものでなければなりません。新しいものがお客さまの求めるものとかい離しすぎないために、現場の意見がとても貴重です」(商品部デザイナー・白瀬敬子さん)。
「私たち販売スタッフも本社から送られてきたものを販売するというだけでなく、自分たちが企画に加わることでモチベーションがぐんと上がりますし、接客に生かすことができます。また、お客さまのより近くにいるのは私たち販売スタッフ。お客さまの生の声を伝えることは、ものづくりに重要だと考えています」(販売担当・末吉千景さん)。


本音の会議で商品づくりを高める

「イング」には30数年積み上げてきたブランドイメージがある。それはトラッド系のベースデザイン+はき心地である。普段使いにもお出かけにも使え、足入れの良い安心感が、顧客からブランドに求められる。そのイメージを損なわないようにし、しかも少し先を見据えたデザインを提供していくのが制作者たちの腕の見せどころである。
よりよい商品をつくり上げるために、FA会議では「本音で語る」という約束事がある。「どうしてこの商品が売れているのか、革の柔らかさ、足当たりのよさ、見た目の大人感など、さまざまな要因を率直に伝えます。逆にどうして購入につながらないのかなどのマイナス面も伝えます。販売状況を直接伝えることで、商品開発にプラスになっていると思います」(販売担当・貝瀬亜美さん)。
 販売スタッフからは、店頭の多くの情報が率直に伝えられる。
「データ上ではよいとわかっていても、販売状況を聞けることで、よりリアルなお客さまの状況がわかります。売れていても古くなっていないのか、といった疑問点も直接言える会議なので、自分のなかの疑問を解決してデザインすることができる点もよいです」(白瀬さん)。
販売現場でのより多くのデータは、商品の足入れのよさにもつながる。デザイナー側から販売スタッフに、デザインのアイディアや素材などの意見を求めることもある。アイディアに対して、現場の状況を考慮に入れながら意見を言う。

自信を持って商品づくりができる

トレンド性とブランドイメージとユーザーのニーズ。その三つのバランスを図りながら、会議での対話がよりよい商品開発につながっていく。現場、営業、デザイナー、熱い思いをのせて、自信をもってつくり込みをした商品を提供できるのが同社の強みである。
会議には直接参加しないが、その思いは広報チームにも広がり、同社のホームページやインスタグラムで商品の特徴やよさを発信する。
「制作者の思いをどのように皆様にお届けするか。イングのファン、さらにイングをご存じない女性層に向けて、よりよい形で発信していきたいです」(商品部PR・田中怜子さん)。
 イングのチーム力がものづくりのパワーとなって、よりよい商品を提供していく。


オギツ
東京都台東区清川1-6-4  
TEL 03-3875-0111