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2014年商業統計 靴卸/バッグ小売/バッグ卸

2014年の商業統計から、靴卸の実態を見る。前回の調査・発表の07年と比べるほか、12年の経済センサスとも比較し、この間の推移を見る(靴小売業については本誌8月号に記載)。

 靴 卸

年間販売額は9600億円、対07年比36%増加

事業所数は7年間で2割減少



靴・はきもの卸売業(以下、靴卸)の事業所数は1123事業所。この数は、全卸売業の構成比でみると、0・4%に留まる。
対07年比(以下、07年比)78・6%と減っている。靴小売の店舗数は同時期、3割減少して1万店を切っているが、靴卸の事業所数は2割減る結果となった。
12年の数字と比べても、12年比82・2%と減っており、依然、事業所の減少は進んでいる。

従業員数は12年より増える

靴卸の従業員数は1万3821人。全卸売業の中では0・5%の構成比となる。
07年比81・2%と、7年間では2割ほど減っているが、12年と比べると、2・5%増えており、1事業所当たりの規模は、大きくなっている。
小売市場では、大手チェーンが多店舗化を進める一方で、中小店が店舗を減らしておるように、靴卸も中小企業の淘汰が進んでいるよう。

年間販売額7000億円、07年比27%の減少

靴卸の年間販売額は7063億円、07年比73・4%だった。靴専門店の販売額は同時期、7%の減少と1ケタ台の下げにとどまっているが、卸業態は27%の下げと大きな差が出ている。大手チェーン、地域チェーンがメーカーとの直取引やPBへの取り組みを増やしており、卸機能に頼らないことも、卸規模の減少要因の一つに考えられよう。
12年の販売規模に対しては、116・8%と2ケタの伸びを見せている。リーマンショック後の09年を底に市場規模は右肩上がりで推移しているが、靴卸も07年規模までには至っていないものの、回復傾向にあったよう。

商業統計では、靴卸の業態別販路の実績は表していないが、小売店向け販売規模は集計している。この規模が14年は4321億円であった。これは卸販売規模の61%の構成比。07年は5391億円であり、構成比は5・1ポイント上がっている。07年と比べて販売規模は縮小しているが、ネット販売など多様化する小売ルートへの販売比率は増えていることになる。

卸直営店の販売規模は3割を超す伸び

靴卸の販売規模の中には、直営小売店での販売額も含まれている。この規模が14年には187店舗で153億円あった。07年と比べ、店舗数は5・6%減ったものの、販売額は42・2%増えている。多くの卸が小売展開をするわけではないが、供給先の減少で、卸の販売額が減っているなかでの直営店展開は、また伸び代のある分野となっている。

 14年の商業統計では集計発表されていない項目に、商品手持額がある。07年と12年の商業センサスでは集計している。この数字を見ると、12年には年度末には766億円あった。これは年間7・8回転の規模になる。額は07年よりも25・4%減っているものの、回転率については1・5回転ほど向上している。



 バッグ小売

年間販売額は3900億円、市場シェアは39%に縮小

商業統計では、「かばん・袋物小売業」として産業分類されている。ここではバッグ小売として14年商業統計と12年商業センサスから集計する。


事業所、従業員とも3割を超す減少

事業所の数は3949社、07年比66・7%と3割を超す現象となり、07年の5000台から4000を切る数に減っている。12年比では12%増えているが、この2年間は現象が止まっている。
従業員数は1万7153人。07年比67・8%と、ほぼ事業所数と同じ比率で減っている。1社当たりの従業員数は同じ4〜5人ほどで変化はない。12年比では、事業所数の伸び率を12ポイントほど上回る、123・8%となった。

売場面積は26%の減少で、店舗拡大の傾向

バッグ小売店の売場面積は41万8670u、07年比74・2%と減少している。事業所数の下げ幅よりは減少幅は少なく、売場は大きくなる傾向にあった。バッグの大手小売は、靴チェーンの郊外店のような大型店舗はないが、大型SCでの多店舗化で、売場面積を増やしている。12年比では、101・4%と、売場面積ではほとんど変化がなかった。

販売額は、7年間で1000億円を超す縮小規模に

年間商品販売額は、3951億円、07年比78・0%となった。5000億円を超えていたバッグ専門店の売上げも、7年間で1000億円を超える下げとなっている。
この数字は、事業所数、売場面積の下げ幅よりは良かった。販売額を事業所数で割った1事業所当たりの販売額は1億円の大台に載っており、07年比17%の増加となっている。都心部の店では、インポート商品のインバウンド需要が好調だった時期でもあり、大手の寡占化の中で、1事業所当たりの販売額は伸びたと見られる。

販売チャンネルの多角化で、専門店のシェアは下がる

バッグの市場規模は11年を底に上向いており、13年は5年ぶりに1兆円の大台に載り、14年も1兆円台を維持していると見られている。業種・業態別のシェアは、バッグ小売店は39%。これは07年比7ポイントの下げと推定できる。
これまで百貨店・スーパーのバッグの販売規模も高く、その額はほどバッグ小売店と同等の規模だった。しかし、百貨店ではライセンスブランドの勢いが低下し、インポートバッグを除いて動きが弱くなっている。また、市場の低価格志向が進んでいる中、アパレルのほか、Eコマース、ホームセンターなどがリーズナブルなバッグを販売するようになるなど販売チャネルも多様化しており、百貨店・スーパーのシェアもバッグ小売店と同様、そのシェアは下げていると思われる。



 バッグ卸

年間販売額は6000億円、専門店以外への販路拡大で伸ばす


商業統計では、「かばん・袋物卸売業」として産業分類されている。ここではバッグ卸として集計する。なお、12年商業センサスでは、バッグ卸に限定した集計項目はなく、ここでは取り上げない。

事業所数、従業員数とも1割ほどの減少に留まる

事業者数は1027社、07年比86・2%で、7年間で165社減っている。バッグ小売店と比べると下げ幅は小さいのは、バッグ業界以外にも販路を広げることで、生き残りを図っていることがうかがえる。
従業員数は1万1287人、07年比90・0%は、7年間で1200人ほどの減少である。3割ほどの従業員を減らしているバッグ小売に対し、バッグ卸は事業所と同様、減少幅は小さい。

年間販売額は、07年比9%の増加が伸ばす

年間商品販売額は6065億円、07年比109・0%と伸びている。ファッション関連ではアパレル、靴ともこの07年比では売上げを下げている。かつて、バブル景気がはじけた時も、その影響が現れたのはアパレル、靴、バッグの順で、バッグが一番遅かった。現状のファッション業界の低迷も、その例の通りになるかは不明だが、14年時点ではバッグ卸は伸ばす結果となっている。

小売店への卸販売額は、バッグ専門店の販売額を上回る

バッグ卸の小売店に対する販売額は4235億円、07年比126・4%と大きく伸ばしている。この額は、バッグ小売の販売額を上回っており、卸の専門店以外への販路拡大が進んでいることが分かる。この小売店のシェアは69・8%あり、07年より9・7ポイント増えている。
 バッグ卸の自社小売店舗数は187店で、07年比99・5%で1店舗減っている。売上げは95億円、07年比86・8%の結果。靴卸が自社小売店の開発で、小売販売額を伸ばしているのに対し、バッグ卸は下げる結果となった。卸の売上げが伸びている中では、自社小売に積極的に取り組むところは限られている。