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バッグあっとらんだむ くつ工房ケドモリ(岐阜・羽島市)
 くつ工房ケドモリ (岐阜・羽島市) 

靴を脱いで上がる靴&バッグ店

「くつ工房ケドモリ」は、新幹線「岐阜羽島」駅から車で5分ほどの国道沿いにある路面店だ。店舗のみならず、看板から店内に掛けられた絵まで、平光秀樹代表夫妻の手づくりだ。
ドアを開けるとなんと、店内へは“靴を脱いで”上がる仕組み。スリッパの代わりに、「ストレッチウォーカー・エキセンシブル」のサンダルを勧めてくれる。足元からリラックスしつつ店内を見ることができるうえ、試しばきに対して敷居が低くなるのもアイデアだ。こちらは全国に5件ある、コンフォートシューズ「のさか(金沢)」のパートナーショップのひとつ。
バッグも充実しており、「サポネッタ」「ドゥミル」「マーベレッツ」といった素材感の面白い一点もの感覚のブランドをピックアップしている。カラフルな靴と組み合わせたディスプレイが秀逸だ。
「もともと革の裁断工場で仕事をしていたので、革や加工法についての知識を持っていました。実家が岐阜市内でバッグ店を営んでおり、バッグの販売に携わりましたが、たまたま品ぞろえの中に靴を入れてみたらこれが良く売れた。それで靴に本腰を入れることにし、4年前に独立、この場所に店舗を構えることになりました」(平光秀樹代表)。
 

カテゴリー分けせず楽しんでもらえる場所に

 15坪ほどの店内は、売場の棚から細やかなディスプレイ小物まで、夫婦二人で手づくりしたもの。また、絵心のある平光代表が描いた動物たちのドローイングも、空間の中でアクセントになっている。ソファもあって、お茶をいただきながら自分だけの一足をじっくり探せるところが、どことなく“カフェ”のようなスペースだ。
靴の扱いブランドはポルトガル製の「エジェクト」、「ストレッチウォーカー・エキセンシブル」、また夏時期はゲタの「tamaki」など。いわゆる“コンフォート”とカテゴリー別けせず、“楽しんで選んでもらえる場所”にしたかったため、売場に靴箱を一切見せていない。
「エジェクト」はカジュアルだけでなくヒールのあるデザインも個性的。ここならではのデザインも少なくない。
 インポートブランドにバッグが加わるため、客単価は2万5000~3万5000円ほど。売場では足計測を無料で行い、一人ひとりじっくりとカウンセリングする時間も設ける。好きなデザインを選んでいただき、そこから微調整やインソール製作をする。基本的には“ワクワク感”に寄り添うような接客を心掛けている。


おしゃれを楽しむ気持ちを取り戻してほしい

「ケドモリ」がコアなリピーターに愛されるのは、店のもつ奥深い世界観にもありそうだ。実は奥に5坪ほどの小部屋がひとつ隠されていて、そこにもバッグや革小物が並ベられている。どことなく“ヨーロッパの古い童話”の世界に足を踏み入れたようだ。
ここは、知る人ぞ知るスペース。ハ虫類使いの「ヴァーミリオン」、素上げ革の「ユニゾンデプト」など革好きにはたまらないブランドをセレクトしている。この部屋にまっすぐ入ってくる方もいるほどだ。平光代表自身も革小物やバッグなどを手づくりし、オリジナルブランドを立ち上げている。他では見られない革の取り合わせやステッチ、仕上げ方など、革の知識があってこそのテクニックだ。
「コンフォートショップという枠組みを超えて、とにかくお客さまに楽しくて、ワクワクするような時間を過ごしてもらうことが願いです。足のトラブルなどで、塞ぎがちの方も、ここに来て『ヒールがはけた、これなら出かけたい』と笑顔になっていただける。気づいたらバッグも持ちたいとなって、おしゃれな気持ちを取り戻してもらえたら、何より嬉しい」と平光代表夫妻。二人の笑顔に会いに来るリピーターが多い。

くつ工房ケドモリ
岐阜県羽島市竹鼻町丸の内3-2-1
TEL: 058-322-2633