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ギャラリー・シューズ ドイツ在住・通信員/萩田 あい <br>

ドイツでスタートした新国際シューズ・フェア

16ヵ国から500ブランドが出展、来場者数は9200人


ドイツで開催の国際靴見本市「GDS」が今年2月、123回という長い歴史に幕を閉じた。今後、どうなるのかとの懸念があったが、この8月27日から29日の3日間、ドイツ・デュッセルドルフで、すっかり様変わりした国際シューズ・フェアが開かれた。
見本市の名称は〝ギャラリー・シューズ(galley SHOES)〟。主催者はファッション見本市 „ギャラリー(galley)“などを企画し、国際的なファッション・オーガナイザーとして知られるイゲド・カンパニー。
会場は “アレアル・ベーラー〟。1914年に設立されたステンレス・鉄鋼メーカー・ベーラー社の工場建造物は文化財指定を受けており、歴史ある外観と主要な工場内部構造を保存しつつ新たに改装・開発された会場で、2016年からイベントホールとして活用されている。デュッセルドルフ中央駅から市電U70、U74、U76で約23分のレーリック駅前にあり、市の中心部からは、これまでのGDS会場とほぼ同じ時間の距離である。

5つの商品カテゴリーでゾーン構成

 第1回のギャラリー・シューズでは、約2万0500㎡を使い、16ヵ国から500ブランドの出展があった。
往時の工場時代の名前がそのまま付けられた、8つのさまざまな広さのホールを使用し、"コンテンポラリー" "アーバン" "プレミウム" "コンフォート" "キッズ" と5つのカテゴリーに分けてゾーン構成された。
コンテンポラリーとアーバン・ゾーンでくくられた"アルト・シュミーデンハレ"ホールには、アラ、ロイド、タマリス、パウル・グリーン他多くの有名ブランドが出展している。
ビルケンシュトックやスケッチャーズは、このホール内の一角にある一室を展示ルームとし、個展風のプレゼンテーションだった。
"ハレ・アム・ヴァッサートゥルム"には、ガボール社の各部門が一堂に展示され、同社ショールームそのもの。"カルトシュタールハレ"には、有名ブランド各社がまとめられ、"グリューオーフェンハレ"ではヨゼフ・ザイフェル他2社がゆったりと展示された。"エーデルシュタールハレ"はリーカーほかが、"アルテ・フェーダーファブリック"では、コンフォートの企業でまとめられた。光のよく入る"ブランクシュタールハレ"は、キッズ・ゾーンとなり、開放的な明るい環境で、子供靴にふさわしいプレゼンテーションを展開した。


コンタクトしやすいブースづくり


企画者サイドからの規定で、通路側ブースの壁の高さを150cmに制限されており、会場全体がオープンな雰囲気になっていた。気軽にブースに入り、商品が気に入ればその場で商談に入れるような考え方が、こういったところにも反映しているようだ。
今回のギャラリー・シューズから戻ってきた、アイグナー社のような企業もある。同社はこれまで、GDSと並行して会場の外で展示会を行っていたが、「今回の見本市が、ショールームのイメージで展示できることになったため出展した」と話した。
HDS/L (ドイツ製靴・皮革工業連邦協会)の取締役で、ヨゼフ・ザイベル社社長カール-アウグスト・ザイベル氏は記者会見で「ギャラリー・シューズはGDSの今までの形式を破り、新しいコンセプトと新鮮な時代感覚にあったロケーションで、最新のコレクションを提案して行く場となるでしょう」とコメントしました。
またドイツ靴小売業連邦協会のブリギッテ・ヴィシュネフスキーさんは「ブースレイアウトの統一にもかかわらず、これほどのインパクトのある個性的な展示が実現するとは思いもよらなかった。オープンな雰囲気は出展者、来場者が互いにコンタクトをとりやすい状況を生みだし、良いビジネスチャンスを導くだろう」と語った。



ショールーム感覚の展示が好評

GDSに代わる新規見本市に対する感想を、出展社に聞いた。
ドイツ国内のほか、イタリア、フランス、コペンハーゲンと、年間20回ほどのショールーム展示や見本市に出展している、子供靴ミニミーのフリューリッヒさんは、「ギャラリー・シューズは、子供靴のビジネスには時期的に少し遅いが、ショールーム感覚で展示、出展できるので参加した。今回のショーでの来客数には十分満足している」と話した。
コンフォート・ゾーンに出展し、多くの訪問客でにぎわっていたフィン・コンフォートのラルフ・S・ヴォルター社長は、「お客さまにとって便利は場所で、製品展示が充分にでき、今回の新しい見本市には大変満足している。海外からのお客さまが多くいるが、この新しいショーも問題なく訪ねて来てくれている」とコメントした。
 アーバン・ゾーンに出展のポルトガルのレモン・ジェリーのホセ・ピントさんは「ポルトガルからは約14社が出展した。ロケーションもいいし、ホールの雰囲気は最高だ。ビジネスの方も順調だし、今後どうなっていくか楽しみなショーだ」とポジティブなコメントをした。

さらなる国際展示会を目指す

 ギャラリー・シューズプロジェクト・ダイレクターのウルリケ・ケーラーさんは、「第一回目のギャラリー・シューズを終え、出展者、来場者双方から認められ、好評であったことをうれしく思っている。今後、国際的な市場、特に北ヨーロッパの開発に力を入れたいと考えている」と話した。
 最終日に発表された来場者数は、3日間でヨーロッパ各地からの9200人を数えた。出展については、南ヨーロッパからの出展が多く、今後も増える見込みだという。GDSの終幕の後、約半年間で立ち上げた見本市であり、今後改善すべきところも多くあるが、出展社からの前向きな反応や来場者の高評価から、今後の展開も楽しみな見本市だ。
次回のギャラリー・シューズは2018年3月11日から13日に開催される。
ホームページはhttp://gallery-shoes.com/