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Spring&Summer2018 MICAM ミカム見本市レポート 大谷聡美

ファッションブランドが顔をそろえる

 2018年春夏シューズ・コレクションが披露された第84回ミカムは、9月17日から4日間の日程で、イタリアのミラノ・ロー見本市会場で開催された。
 出展社は1441社(イタリア797社、インターナショナル644社)と、前年同期開催に比べ37社減少、そのうち30社がイタリアメーカーだ。
 来場者は5万7187人、前年同期比5・6%増。イタリア6・5%増の1万9307人、イタリア国外5%増の2万7880人となった。特にロシア(32%増)、アメリカ(15%増)、中国・香港(7%増)、EU圏ではフランス(6・7%増)、ドイツ(4%増)となった。
 初日にパオロ・ジェンティローニ首相を迎えてのオープニング、前回ブースを構えたイタリアトップ5ブランドに「アルマーニ」「ドルチェ&ガッバーナ」「セルジオ・ロッシ」「ジミー・チュウ」「エルメネジルド・ゼニア」がブースを構え、イタリアが誇るファッションブランド大国の実力を見せしめた。

GDSの閉幕で、多様化する出展先

 今年2月に閉幕したGDSの影響は、ポジティブな形で出展社や来場者に表れた。特にGDSだけに来訪していた日本人バイヤーは、今回からミカムでのオーダーに切り替えた。ドイツメーカーはエレガンス要素を中心に商品をセレクト、イタリアメーカーは商品バリエーションが豊富というメリットがあるようだ。
 出展社からも「いつもより賑わっていた」という声が多かった。イタリアのBrunate社のセールスディレクター、サラ・ガッリさんは「GDSに変わるギャラリーシューズに出展しましたが、北欧からはあまり来場せず、ドイツ、オランダ、ベルギーとドメスティックな印象を受けました」と話す。また、ドイツのWald laufer社の輸出担当ジャニーナ・コーナワーさんは「若い人をターゲットとしているベルリンのパノラマに出展しました。テキスタイルも出ており、成果がありました」と語っている。
 ミカムに絞るメーカーがいたほか、予算的に可能な企業は、ミカムと他の展示会という選択をする、というケースもあったようだ。


 商品傾向

人気のメタリック、パーツや素材でトレンド表現

 引き続き人気のスニーカー、快適サンダル、エレガンス商品に、ドラスティックな変化は見られず、価格パフォーマンスの高い商品が多く提案されている。デザインでは、ヒールやアクセサリー、アッパー素材で差別化を図る商品が多かった。
 メタリック人気は続いており、メタリックカラーのバリエーションが広がっている。エレガンス系は、これまでのデザインにクラフト感のある要素をプラスすることで、新しさを出している。例えば、花のコサージュやラフィア素材を使用したモチーフで、フォークロアの匂いを感じさせるもの、刺しゅうやスタッズも引き続き人気の表現だ。
 ファッション系商品に変化が見られない中で、コンフォート系商品は、ファッション要素の高いデザインが豊富に提案されており、メタリックやファンタジーマテリアルを使った、エレガンス的なコレクションが増えている。



 注目アイテム

スニーカー
 スニーカー人気は根強く、どのブースでも必ず必須アイテムのごとくに提案されている。ビビッドカラーやメタリック、ファンタジーマテリアル使いとバリエーションが広がっている。



低寸サンダル
 低寸サンダルは今シーズンも人気のアイテム。フェミニンな要素よりも、モダンな雰囲気のデザインに仕上げられている。


エレガンスフォークロア 
 ファッション系で多く提案されているのが、クラフト感モチーフを採用したデザイン。いずれも完成度が高く、オリジナル性を際立たせている。



三越伊勢丹inインターナショナルデザイナーズエリア

 オリジナルブランドでエレガンスの「NT」、カジュアル「ニューニュー」で、3回目の出展をした三越伊勢丹。今回は「NT」の鼻緒スニーカー、カジュアル商品がイタリア、フランスのショップからオーダーが入った。
 60〜90ユーロの価格帯で商品提案しているが、テイストは気に入ってもらえても、価格がネックになるケースが多いという。
 「今回で3度目になりますが、今後どういった方向性で海外に提案していくべきか、明確にしていく必要があります」と仕入構造改革統括部婦人雑貨商品部担当の川口洋司マネージャー。
 ジャパンクオリティをどこまで海外で展開できるか、その可能性を探る挑戦は、次回のミカムでさらに続く。