今月の記事・ピックアップ 2018・5
 HOME > フットウエアプレス >  地方百貨店のいま トキハ百貨店(大分市)


ライフスタイルからのファッション提案で、新たな顧客開拓を進める

 

地元大分で愛される老舗百貨店

トキハは、大分県下で2店舗の百貨店(大分本店、別府店)と、同百貨店がデベロッパーとなるショッピングモール「トキハわさだタウン」を運営する、創立80年余の老舗企業。社名の「トキハ」は、旧かな遣いで「ときわ」と読み、常緑樹を意味する「常葉(ときわ)」に由来している。
地元の顧客からは、「ひまわり」のショピングバッグで長く愛されてきた。地方百貨店の苦戦が報じられる中にあって、常に改革を続けながら新しい百貨店を目指している。
大分本店内の直営靴売場は1階フロアにあり、店頭には各階でファッションテーマを連動させているディスプレイが出迎える。以前からのインショップは「ヨシノヤ」と「ヒロフ」だが、ここ半年間の間に新たに「フィットフィット」や「ビューフォート」を導入、ファッション性に履きよさを求める層に訴求している。またエレガンスゾーンに向けては、三越伊勢丹のオリジナルブランド「ナンバー・トゥエンティワン」を導入し、ファッション性を求める顧客に好評だ。

直営の雑貨セレクト業態を立ち上げる

「一昨年のシンエイの件もあって、ここ数年、直営の靴平場は苦戦を強いられていました。隣のコスメ売場の拡大で、靴売場が縮小するといった動きも出てきています」と話すのは、МD統括部 本店婦人靴バイヤーの、幸小友美(ゆき さゆみ)さ。
そんな中、社内改革の一環として、インポートによるファッション雑貨の直営セレクト業態「セレクトスクエア」を、1年前に立ち上げている。
「平場展開ながらハコ≠フように見える売場づくりを工夫し、ファッション感度の高い20〜30代を取り込む狙いです」(幸バイヤー)。
また、直営靴売場の向かいに、新興のインポートブランドや国内ブランドなどを集めた、高級感あるセレクト売場をオープンしている。
セレクトスクエアで扱う主なブランドは、シューズは「ファビオ ルスコーニ」「ボントレ」「ペリーコ」など。バッグは「ムーニュ」「バネッサ ブリューノ」「ラドロー」「ペリーコ」など。スカーフは「マニプリ」や「ピエール ルイマシア」、帽子は「エリックジャビッツ」などがそろう。リゾート≠竍レイン≠ネどライフスタイルでくくったコーナーを設け、オンシーンとオフシーンの両方を提案しているのもポイント。
それぞれのブランドの持ち味を生かし、コーナーごとにトータル展開しているとのこと。県下では唯一ともいえる高感度でエッジの効いた品ぞろえに、若い世代だけでなく40、50代の顧客層も引き付けている。

40〜60代のファッション需要を掘り起こす

3月には、「L.L.ビーン」のキャンバストートにオリジナルのイニシャル刺しゅうができる、ポップアップイベントを開催。イラスト風のユニークな刺しゅうも可能とあって、多くの来場者でにぎわった。
「セレクトスクエアをオープンしたことで、若い世代だけでなく、実は40〜60代のお客さまの中にもファッションに興味を持ち、まだまだおしゃれしたいと思う人たちが多いということに気づきました。地方百貨店でもできることがたくさんあり、さらに喜んで頂けることを、これからも探していく必要があると実感しています」(幸バイヤー)。

シューフィッターの資格制度も導入

 大分駅には2014年に駅ビル「アミュプラザ」もオープンし、消費者にとってはファッションの選択肢が広がった。トキハ本店では、改めてファッション提案≠強化し、各フロアでトレンドテーマを連動させ、ボディを使ったコーディネイトを統一させる試みをスタートさせている。
 直営靴売場では一昨年から、シューフィッターの資格取得を奨励している。顧客の足に寄り添い、フィッティングをしっかりしていくことで、他店と差別化する狙いだ。すでに二名のスタッフが資格を取得したとのこと。
「現在は、1〜3階の婦人フロアでファッションテーマを連動させながら、トレンドやオケージョン提案ができるように改革を進めています。目的買いだけでなく、館内を楽しみながら回遊していただき、買い回りでシーン提案ができるようにしていきたい」(幸バイヤー)。


◆トキハ百貨店 本店
本店/大分県大分市府内町2-1-4
TEL:097-538-1111