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【地方元気店】 ミタキヤ(広島市)

婦人革ブランドに主力に、専門店らしい接客力で差別化 


広島と岡山で11店舗展開
1930年(昭和5年)に広島市内で創業し、80余年の歴史のある靴専門店「ミタキヤ」。現在では「MITAKIYA」業態で、イオンモール広島府中≠竍ゆめタウン広島≠ネどにレディス専門店を計11店舗展開している。近年では隣県の岡山への進出を果たし、イオンモール倉敷∞イオンモール岡山≠ヨと出店した。
「東京で業界違いの仕事をしており、20年前に広島に戻ってきました。その時に決意したことは、家業として継ぐ限りは、長く続けること。大型SCが次々と誕生している時で、そうしたSC内に出店するにしても、同じような品ぞろえの店舗を構えるのではなく、あくまでもその商業施設やフロア環境に合わせて、MDをフレキシブルに変える必要があると考えました」と話すのは代表の大井克元さん。
ミタキヤではSCに出店するに際して、集客しやすいレディスケミカルで構成し、売上げをつくるというということはしなかった。競合が激しいということもあったが、自店の強みはなのかを考えたときに、市内には『ミタキヤ』にしかない革ブランドが多いことに気づき、この革ブランドで差別化することにした。
基本とする商品構成は、「革もの」を主軸とすること。ケミカルシューズは、GMSが核店舗の中では競合していることもあり、早い時期から革ものに切り替えている。
40坪の店舗面積のイオンモール広島府中店≠ヘ、革もの6割、ケミカル4割の構成。ほかのSC出店でも、商品の構成比率は革ものがケミカルを上回る比率にしている。市内にあるメンズ専門店ミタキヤМ≠ヘ、インポートブランドと国産ブランドの構成で、ほぼ革ものだけの店だ。

実店舗で良質なサービスを提供

いま大井社長が気になっていることは、消費者の購買スタイルの変化だ。ネット販売に続いて、最近ではリユース≠ェ加わってきたことで、実店舗での購買に影響を与えていると実感している。「メルカリ」などEC(インターネット取引)でのリユース市場では、「賢くコーディネイトして、賢く売る」といった新しい流れが生まれている。こうした現状から、ミタキヤは婦人革靴を主力とした業態にしている。
「ECやリユースへの流れは避けられない。彼女たちや彼らは単なる安いものを探しているだけでなく、今の気分≠ノ合う値ごろ感あるものを探しているのだと思う。ただし、私たちは専門店である以上、良質なサービスを提供し続ける必要がある。靴は、オンラインでは履き心地まではわからない。いい靴を探すきっかけの最初の店が『ミタキヤ』で、次も期待できる≠ニ思ってもらえるよう、私も時折店頭に立っています」と大井社長は話す。



10年前からNBスニーカーは扱わない

 現状は、ケミカルで5900円をボトムとし、革ブランドと合わせた平均客単価はおよそ9000円前後。革を主軸としながら、ケミカルもMDの中で重要なものとして位置づけている。主な取引先や革ブランドはクロスロード、「モードカオリ」「ヨシト」「コメックス」「HIPS」など。ケミカルではアマガサ、イーボル、クライム、ヤマダなど。
またスニーカーでは、広島発の「スピングルムーブ」をメンズ、レディスともに取り扱っており、地元らしく広島カープ別注<Aイテムなども人気が高い。
「ナショナルブランドのスニーカー販売は、大手スニーカー専門店が台頭してきた10年以上前に、すべてやめました。スニーカーブームの波には乗れませんでしたが、逆に大きく下がることもなく、比較的安定して売上げは取れています。最近ようやく、婦人靴の専門店らしくなってきたのではないかと思っています」(大井社長)。

優しい接客≠ナミタキヤらしさえを貫く

 革を主体に扱っていることもあり、スタッフの接客力は高い。大井社長がスタッフに希望する、顧客に対して心掛けてほしいことは、「自分が考える優しい接客=vだという。社長自身も、会長から伝えられたことはその言葉だった。
「ただ人それぞれ、優しさ≠どうとらえるかは違います。声かけのタイミングなのか、インソールをサービスすることなのか。上から『優しさとはこうあるべき』と押し付けることではなく、自分たちが独自で考えて、それを接客に反映させ、磨き合うことが大切だと思っています」
 革もケミカルも関係なく、顧客のニーズとライフスタイルに合う、ベストのものをお勧めすること。こうした専門店らしさ≠貫くことが「ミタキヤ」が今後も目指すことであると、大井社長は話す。

◆株式会社ミタキヤ
(本部)広島市中区本通1-6
TEL:082-208-5848