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企業スポット フィットフィット

常に女性目線の商品開発が女性ファンを拡大

外反母趾にやさしく、おしゃれな靴を開発

外反母趾にもやさしい、婦人靴ブランド「フィットフィット」。はき心地はもちろん、見た目の美しさを意識して、「細身に見える」ことに徹底的にこだわっている。
フィットフィットの母体は、2007年に創業した、婦人服ブランド「ドゥクラッセ」。創業当初はカタログ販売をメインに、業績を伸ばしてきた。
フィットフィットのブランドが誕生したのは、2011年3月。林恵子社長が、外反母趾に悩む一方、「街にある外反母趾の靴は、幅広でデザイン性に欠けるものばかり」という現実を打破したい、という思いで立ち上げたブランドである。人間工学を熟知した靴の匠と組むほか、感性あふれるデザイナーとも一緒になり、機能とデザインが両立する靴づくりを目指した。現状の生産国は中国、ベトナム、ミャンマー、カンボジアと多岐にわたっている。
フィットフィットの靴の最大の特徴は次の3点。@センターラインを親指寄りに振ったオリジナルの足なり設計で、親指を開放する木型 A足指の自然なラインにそってフィットするよう、ソールのつま先部分の親指側を高く、小指側を低くする設計 Bアウトソールと体重を支えるハードなミッドソール、ヒール部分に内蔵された衝撃吸収クッションの3層構造で、ソールとヒールが一体となった「3in1<Xニーカーソール」、という3つの特徴が基本となっている。
この機能性とデザイン性を兼ね備えた靴が、1万円前後とリーズナブルな価格であることも特徴だ。
ターゲットの中心は、40代、50代、60代。エレガントなパンプスがはきたいけれど、足にトラブルがあったり、パンプスだと足に負担が掛かるといった女性が多い。次にターゲットとするのは30代の女性である。

スニーカーのような心地のパンプニーカー

エポックとなったのは、2016年8月から発売を開始したパンプニーカー≠セ。パンプスのようなルックスで、スニーカーのような心地よさを実現した靴で、「ポインテッドトウの、エレガントなパンプスがはきたい」という、足にトラブルのある顧客からの声に応えて生まれたシューズである。
「当社のミッションは、ターゲットである方々に足元から元気になっていただきたいということです。外反母趾の足にやさしく、しかもデザイン性を兼ね備えるという当社の得意とするところを基本とし、そのうえで、さまざまなデザインを拡大しています。われわれの会社はいつもチャレンジ精神で、商品開発に当たっています。特に、ポインテッドパンプニーカーの開発に当たっては、最大のチャレンジでした」(ストアセールスマーケティングディレクター・石川淳氏)。
つま先が細いのに、楽な装着感が得られるポインテッドパンプニーカーが、これまでポインテッドトウをあきらめていた、外反母趾の人にも心地よくはけるとあって、好評を博した。パンプニーカーは、エナメル、メッシュ、カットワーク、撥水バイカラーなど、季節ごとに新作がラインアップ。特に、元気なカラー、ラメ感のあるもの、デニム調といった表面に表情があるタイプが人気だ。
昨年秋冬シーズンには、待望のミドルブーツ、ストレッチフィット・ロングブーツといったブーツ型が登場。今春はバレエスニーカー、フラットシューズを発売している。バレエスニーカーは、アッパーがバレエシューズ、ソールがアクティブなスニーカー仕様となった、アクティブなシーンにもドレッシーなシーンにも対応できるシューズ。フラットシューズは、一見フラットだが、2・5センチのヒールで歩きやすく工夫されている。どちらも好調な動きを見せている。


旗艦店が新宿アルタにオープン

 通販からスタートした同社が、店舗展開に乗り出したのは2012年3月。機能とデザインを兼ね備えた靴でファン層を拡大してきた同社に対し、通販客から実店舗で試着がしたいという要望が寄せられ、この声に応える形で、東京・日比谷シャンテに直営店を出店した。フィットフィット1号店である。その後、直営展開を増やし、18年4月現在、全国で52店舗の直営店を運営している。店舗数が飛躍的に伸びたのは、一昨年と昨年でパンプニーカー≠フヒットも、多店舗化をけん引したといえる。
 この6月22日には、ドゥクラッセ(レディース&メンズのアパレル)とフィットフィット併合の、「ドゥクラッセ新宿アルタ店」「フィットフィット新宿アルタ店」がオープンする。売場面積は約167坪(レディース約103坪/メンズ約43坪/フィットフィット約21坪)は、ブランド史上最大の面積で、旗艦店舗となる。
今回、出店を決定した「新宿アルタ」は、近年ヤングの客層が縮小していることを受け、ターゲット層をピュアヤングから、トレンドに関心が高い幅広い世代へと新たに設定した。今回の同店のオープンにより、カップルや夫婦など幅広い年齢層が楽しめるスポットとして生まれ変わることが期待される。

接客を重視し、自社でシューフィッター養成

「お客さまに喜んでいただけるのは、接客も大きな要素です。店舗スタッフに関しては、当社の大切にしている文化やシューフィッター研修などトレーニングを行っています。さらに大きな要素は商品力です。商品開発へのチャレンジはこれからも惜しみなく積み重ねていきます。今後も当社らしさを大切に、店舗展開も増やしていく予定です」(同・石川氏)。
同社では、契約しているFHA(足と靴と健康協議会)認定のバチェラーに研修を依頼しており、自社でシューフィッターを養成している。
今年でブランド創業11年目。現状の通販と実店舗での売上げは、店舗75%、通販25%の比率。今後も「2019年に全国60店舗」という目標に向け、出店を拡大していく。

(株)フィットフィット
東京都世田谷区用賀4-10-1ビジネススクエアタワー18F
TEL:03-6703-8000