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 【地方元気店】   あかい靴 (岡山・倉敷市/藤孫商店)

積極的なイベント開催で、地元客支持集める



かつては綿花栽培と塩田が盛んな土地。その綿作りから学生服の縫製工場が集まり、その縫製技術が転じて“ジーンズの街”として知られるようになった岡山・倉敷市児島。最近は街の中心部商店街に「ジーンズストリート」なるスポットも生まれ、遠方や海外からもジーンズファンが集まり賑わいを見せている。
藤孫商店(ふじまご商店)は、その商店街の中で1892年(明治25年)に下駄屋として創業し、今年で126年という超老舗の専門店だ。現在の店舗は、児島駅前の天満屋ハピータウントピア内に「あかい靴」という店名で入店している。
横に広い50坪の店内は、レディス、インポート・カジュアル、ウォーキングと大きく三つのゾーンに区切って構成される。ファッションを探す時はレディスへ、機能的なスニーカーなどはウォーキングゾーンへと、シーンやオケージョンに応じて使い分けている顧客も多く、世代を越えてファンをつかんでいる売場だ。

地元主導型SCで頑張る創業126年の老舗

現在は三代目である藤本十七三(となぞう)さんが代表を務め、四代目となる知也さん、幸子さんの若い夫妻が、レディスゾーンのバイヤーを務めている。社長の弟に当たる藤本弘さんは、靴のフィッティングに腕を振るい、世代を越えて遠方から足繁く通うファンをつかまえている。
 同店は、30年前に児島駅前にオープンした、天満屋を核として地元主導型のショッピングセンター「トピア」に、オープン当初から入居している。
「近年は児島ジーンズストリート≠ェメディアなどで取り上げられ、『児島』の名前が全国に知られるようになりました。この界隈にはジーンズやテキスタイルのメーカーも多く、そこで働く人たちが、個性的で履きやすい靴を求めて、リピーターとして来店してくれています」と話すのは代表の藤本十七三社長。


個性派ブランドと高い提案力

レディスを担当する知也さん、幸子さん夫妻は、自分たちの感性を生かして、ヨーロッパのインポートブランドや、感度の高い国内ブランドを積極的に開拓してきた。まだ靴のEコマースが黎明期の10年以上も前から、インターネット通販をスタートさせ、全国へと顧客層を拡大してきた。
現在のレディスでの取り扱いブランドは「MANA」「アルレットリリー」「ミーム」「ヨシト」「ファビオルスコーニ」「モネ」「HIPS」など。カジュアル&スニーカー系では「トリッペン」「ビルケンシュトック」「スピングルムーブ」「ミズノ」など。
レディスはブランド別陳列ではなく、あくまでテイストでくくり、バッグ、革小物なども併せて世界観を表現するのは「あかい靴」ならではの見せ方だ。靴をベースに服やバッグのコーディネイトまで具体的に提案する販売力と、それに付随するトータルな商品知識も豊富で、アート性の高い一点ものでも売りこなしてしまう。

顧客と楽しむイベントを実施

最近は、顧客向けのイベントも積極的に開催している。幸子さんがインストラクターの資格を取得した「ノルディックウォーキング」を楽しむスクールを、瀬戸内の「直島(なおしま)」で顧客とともに実施。
またファッション関連では、小柄な方専門≠フスタイリストの方と組んで、店内で「ファッションクルージングイベント」も開催した。販売するだけでなく、顧客と楽しむコトづくり≠積極的に行っているという。
「ノルディックウォークも小柄な方イベント≠焉Aお客さまのリアルなご意見を聞けることに加え、喜ぶ表情を見られることから、『靴を通じて私たちが提供することはこれなのでは』と思いはじめています。女性にとって魔法のコンパクト≠フように『自分に自信や勇気を与えてくれる靴』を、これからもお勧めしたいと考えています」(幸子さん)。
 百余年の間、時代に合わせて変化をし続けてきた「藤孫商店(あかい靴)」。若手二人の代になった時、新たにどんな世界観を見せてくれるのかを楽しみにしていたい。

◆あかい靴(藤孫商店)
岡山県倉敷市児島駅前2-35 天満屋ハピータウン トピア1F
TEL:086-473-2030