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みなとみらい21地区(横浜・中区/西区)
高級SCから観光客対象のSCまで多彩な顔で集客、差別化する
横浜みなとみらい線の「みなとみらい駅」と「馬車道駅」周辺に広がるみなとみらい21地区。横浜の港湾地区は1980年代から再開発が進められ、ホテル、オフィス、アリーナ施設などが次々とオープンしている。開発は現在も進められており、展示会場や大学キャンパスのオープンも計画されている。
商業施設も1993年の横浜ランドマークタワーから始まり、16年のマリン&ウォーク ヨコハマまで7施設が同地区に誕生している。周辺に観光地があることで、S Cの集客力は大きく、横浜駅地区との回遊も見られる。しかも高級感のあるSC、ファミリー対象の庶民的なSC,観光客を対象としたSCといろんな顔を見せ、差別化をしている。


陳列方法で目を引くフランスのスニーカー

 みなとみらい駅につながる<マークイズみなとみらい>。地下4階のホームから地下2階にあがると「スポーツオーソリティ コーナーズ」がある。ナイキのスニーカーとウエアを軸にスニーカーをそろえるショップで、スニーカー類は充実している。
 隣接してメガショップの「スポーツオーソリティ」がある。スポーツジャンルごとの売場構成で、靴の品ぞろえも充実している。
 エントランスフロアの1階に。天井が高く、各店舗ゆったりとした作りで高級感がある。エスカレーター前には、靴と雑貨を集めた「ベンシモンアウタードゥモンド」がある。靴はフランスのキャンバス靴を扱っており、横列でカラーバリエーションを見せ、縦列はサイズ別に並べ、見やすく、選びやすい棚陳列をしている。メンズ、レディス、キッズとフルラインで、5000〜8000円。キャンバス地が多い。現在4店舗展開する。隣は「カンペール」で、ブランドカラーの赤を使った内装が印象的。スポーティーなシューズを主力の構成、価格帯は2〜3万円台。 

アウトドアショップは靴を前面に展開

「ブリーフィング」は、メンズビジネスバッグ中心で、トラベル用キャリーケースが多い。大型トート2万6000円、バッグパック4万円。機能的な商品が多い。サンダル感覚のサマースニーカーで人気の出た「キーン」のショップが並ぶ。店頭はボア付きブーツで、1万5000円から。滑車が自動でぐるぐる回り、エレベイター風に商品を乗せて上下に回転するディスプレイがおもしろい。
 「コロンビア スポーツウエア」の店頭はカナダブランド「ソレル」を陳列する。防水加工したスエードやボア付き防寒ブーツなどバリエーションを見せている。1万3000〜2万2000円とインポートのアウトドアではリーズナブルな価格設定だ。ボアは外して洗える。アッパーは防水加工したスエード。
 「アグ」では、看板商品のムートンブーツが前面にだされている。2万円台後半が中心。従来型だけではなく、厚底やシャークソール、アッパーでベルトがクロスしているタイプなどトレンド感を出し、デザインバリエーションを見せている。
 「エルベシャプリエ」は、フランスのバッグブランド。小トート1万8500円、全体的に2〜5万円台とナイロン製としては高め。発色はキレイで、店内はウッド調の内装で格調高くまとめている。ただ、価格表記が見にくく、日本語表記もないのが不親切。
 

品ぞろえ型で集客するABCマート

 2階にあがる。2万円台の靴が中心の「ドクターマーチン」がある。花柄など季節限定品も豊富。「ナチュラルシューストア」はビルケンシュトックなどインポート卸のシードコーポレーションのショップ。カルフやブランドストーンなど人気ブランドを扱う。他にロインツやダックフィート、エルナチュラリスタなどナチュラル・テイストの靴を並べる。2〜3万円台が主力。
向かいは「パトリックラボ」で、隣は「アディダスオリジナルショップ」。アディダスは見たところウエアが多く、ダッドスニーカーよりコート系スニーカーが増えている。隆盛を極めたダッドスニーカーもそろそろ終わりのようだ。「ABCマート」はメガステージ業態で出店する。店頭は秋のスニーカーフェアで、PBのヌォオーヴォでは、ストレッチブーツを4990円で販売する後

ビジネスバッグも展開するマザーハウス

 17年のリニューアルで<クイーンズスクエア横浜>から替わった<みなとみらい東急スクエア>に。すでにクリスマスイルミネーションが美しく、コンサートが賑わいを添える。
 2階「イルビゾンテ」はイタリア製のバッグを売る。長財布で4万円、ショルダーバッグが5万円台と高級で、革の良さを見せる。「マザーハウス」は柱を巻いた格好でショップを出す。フェルトをバンドで束ねて平台にするなど工夫している。バッグは2〜5万円。フェアトレードで知られており、バングラディシュなど6ヵ国でバッグやアクセサリーなどを生産している。
 靴では2階に「ビルケンシュトック」がオープンな売場作りで店を構える。ファッションシューズとしての販売だ。3階には「ABCマート」がプレミアムステージ業態で出店する。前面にキッズコーナーを設け、ファミリー層にアピールする。アプリ会員500万人突破で、さらに会員募集中。ホーキンズトラベラー1000円引きキャンペーン中。


ホテル客を狙う靴メーカーブランド

 横浜ランドマークタワーの<ランドマークプラザ>へ。
 2階に「バークレー」が出店している。ブランドカラーの赤でまとめている。プレーンパンプス1万5000円。シーズン商品としてショートブーツやブーティも出ている。「ヴィタノヴァ」も少しある。
「ビクトリノックス」はスイスのナイフブランドだ。トラベル用品とビジネスバッグや時計を売る。ウエアはヤッケのようなアウター。一つ先の「リーガルシューズ」では11月8〜24日まで1万円以上の購入でリーガルクラブポイントが2倍になるキャンペーンを実施中。店頭ディスプレイは秋らしい小物を使っていて季節感を演出している。レディスリーガルもあり、「必要なときだけ暖かい」をキャッチとするゴアテックス・インフィニウムとのコラボ商品も展開する。
 「スピングルムーブ」は、観光客の来店もあり込み合っている。カンガルーレザーのスニーカー2万円前後で、ハイカットモデルもある。商品はSS〜XLの6サイズで展開。アウトソール貼り替えの修理も可能という。反対通路に面して「ロックポート」が出店している。メンズとレディスを一緒に展開、レディスはヒール商品が多く、ブーツではロングまで提案している。





国産でアピールする「キタムラ」

 3階には地元の「キタムラ」が出店する。レザーのハンドバッグ1万〜3万円台。ウッド調で落ち着いた内装で、エレガントなデザインが多い。メンズではタレントの高田純次の「じゅん散歩」とのコラボバッグある。パンプスも展開するほか、「K」マークを見せていない商品も増えている。
「フルラ」はフランス発のバッグブランド。中心価格4〜5万円と高級感があり、日本では成功している。ピンクカラーとハート型がモチーフになっている。シューズもパンプス、ブーツとあり、こちらも4〜5万円台。「トゥミ」はトランクとビジネスバッグが中心。黒のイメージが強いが、カラフルなものも出ている。
 4階には、花柄バッグで有名な「キャスキットソン」が出店している。ギフトボックス無料で、30〜40%オフのセール中。大型のトート1万4000円、花柄ボストン1万8000円で、ここから値引きしている。バラなどの花柄がPOPな印象のブランドだが、チェックなどほかの柄も出ている。
SC出店では珍しいランドセル専門店「ブレナイ」が店を構えている。東京のメーカー榮伸の直営店で、「つむもの」など3ブランドあり、紺藍、真紅、桃花、栗皮など和風の名前のついたカラーのランドセルを売る。ランドセルの主力は5〜6万円台。秋葉原高架下の2k405にも店舗がある。
 「ゼロハリバートン」はメンズバッグ、トラベル対応のショップ。耐久性や機能性にこだわりを訴求した演出をする。大型トランクが10万円台、ビジネスバッグ4〜5万円台。

 

駅前SCの雰囲気だが集客力は下がっている

 動く歩道に乗って<コレットマーレ>へ。2階入口の近くには、現在改装中で4階から移動した「ロックポート」が売場を構える。向かいのバッグ・雑貨の「ボルサ」は、ポップアップ印象の売場。中型キャリーケース2万3000円、ノーブランドのフェイクファーのバッグ6900円。雑多なバッグを扱う、入店しにくい雰囲気の売場だ。
 3階へ。レディスのケミカル店「エンジェルソール」は、靴卸のミューテーションが展開する店。土日のみ2足以上購入(桜木町、町田店限定)で20%オフを行っている。S〜LLの4サイズで、4000〜5000円。小物を使ってのディスプレイで上手にまとめている。真向かいには「ABCマート」が出店する。他と同じようにフルラインで、今はバンズのコーナーが前面で大きめにとられている。
 かなり広い面積の「GU」がある。シューズラボができたからか、靴が多くなっているようだ。1990〜2990円で、インソールが取り外して洗える「クリーンスニーカー」が出ている。サイズはすべてSMLで、マシュマロパンプスだけが5ミリ刻み。
 本来4階の「メレル」が、5階で展開している。これも改装中で、メンズ、レディス、キッズのフルライン。カメレオンストームモデル(キャンプ・野外フェス用)やゴアテックスとのコラボモデルが目を引く。価格は1万円台後半〜2万円台。



ボリューム展開の専門店が多数出店

大型客船が横付けされる新港埠頭地区に。最初に<ワールドポーターズ>へ。降りたバス停から向かったが、エントランスがわかりにくい。
物販が入る3階に。「エスエフダブリュ」はサンエーフットウエアのショップで、フルライン構成。厚底マニッシュ靴1980円、パンプス2900円、ドクターマーチン風ブーツ4900円。メンズのスリッポン3000円という値段で、ディスカウント訴求する。
 ここにも「ABCマート」が出店するが、立地的にはこのSCが一番合いそう。商品構成は同じで、スニーカーを主力に展開する。
 「ミスターモストマブ」はメンズ雑貨ショップで、ビジネスバッグが多く50%オフのセール中。赤レンガ倉庫に出店するバギーポートのコーナーがあり、価格は1万5000円前後。タケオキクチのレザーバッグもある。「アルズニ」はレザーグッズのお店で、1000円程度のレザーチャームを店頭に、奥にはクラフト感覚の長財布2万9000円など本格的なものを置く。金属アクセサリーの割合も高い。
 バッグ専門店の「ラパックス ワールド」が、アクセサリーとのミックスで出店する。ABCマートと同じようにドミナント出店をする東京デリカだが、このみなとみらい地区には、赤レンガ倉庫の「キソラ」との2店舗のみに留まっている。


専門店はなく靴はセレクト展開

ワールドポーターズから歩道橋を歩いて<マリン&ウォーク ヨコハマ>へ。ここまでくると、観光地らしくなってくる。大桟橋に巨大な豪華客船が停泊しているさまは壮観だ。マリン&ウォークはアウトレットのように、2階建てのいくつかの建物が並び、中庭を回遊するスタイルのSCだ。
「エス−ラッシュ」はセレクトショップで、スニーカーとウエアをそろえる。有力スニーカーのほか、パラディウムやヒュンメルのオフィシャルショップで、来店客で賑わっていた。は一足買うと寄付ができるトムス(TOMS)も扱う。「ザ ブラウンバッファロー」は、アメリカ・コスタメサのバッグブランドで、期間限定のポップアップショップ。トート、ショルダー、リュックの3ウェイタイプで1万5800円などナイロン製バッグが中心。
「MSPC プロダクト ソート」は大阪のマスターピースの直営店。入口のウインドーに型紙、縫製、仕上げなど工程をリアルに表現した人形があってわかりやすい。上質なレザーのバッグも多い。シューズはリーボックやエアマックスのダッドスニーカー系。かなりの人が入っている。

革使いの商品を売る靴、バッグ店

<赤レンガ倉庫>に向かう。横浜のお土産屋の館といったイメージがあり、人でごった返している。
1号館1階には「ヨコハマベスト赤レンガショップ」の中には「キタムラK2」が置かれている。デニムバッグ4000円、小型のトート2600円とこなれた、土産に向く値段だ。「キソラ」は東京デリカのPB展開のオンリーショップ。革にこだわり、国産のクラフト感覚のバッグ・小物で構成する。
2号館2階に「ハルタ」が出店している。靴メーカー・ハルタの直営店で、この店の限定品も出している。レディスは1万台後半が中心で、マニッシュテイストのものが多く、色バリエーションで見せる。メンズは1万8000円でドレスシューズが中心。
「スタイルレザークラフト」はレザークラフトの手ごろなお土産品という感じで、1000円均一でコロンとした形の小銭入れを出している。「バギーポート」は革製バッグを主力に扱う。レザートートバッグ1万5800円、レザーデイバッグ1万6000円などで、トスカーナのタンニンなめしの革も使ったものもあり、革好きの顧客にアピールしている。