―ミラノは閉店、産地の有力メーカーも一斉休業
レポーター 大谷聡美

新型コロナウイルスが世界137カ国・地域で猛威を振るっている。感染者が中国に次いで多いのはイタリアで、2万人を上っている。これほどイタリアの感染者が多いのは、中国との“密接な関係”による。経済が苦しいイタリアはEUでは真っ先に中国とシルクロード“一帯一路”の協力文書を交わした。
昨年の中国人観光客は、前年対比100万人増の600万人にも達したとの試算がある。さらに不法滞在者も多そうだ。感染の環境は十分に整っていたのだ。
3月11日夜、ジュゼッペ・コンテ首相が、薬局、食料品店、スーパーなど生活必需品を取り扱う店を除く全ての店を4月3日まで休業、移動・外出が制限されるという首相令を出した。
すでに学校は休校、企業もスマートワーキング(時差出勤や自宅での仕事)で、感染抑制措置を取っていたが、歯止めがかからない状況を見ての決断となった。イタリア商業連盟(Confcommercio)の予測では、2020年の経済損失は、イタリア全体で150億ユーロ(約1兆7700億円)のぼる可能性があると試算。事態の収束が遅れるほど損失は大きくなっていくだろう。

「春夏の最終オーダー分は生産」との声も
生産も生活に直結しない現場は停止しており、「グッチ」では、従業員の健康と安全を守るため、すべての製造拠点を3月20日まで閉鎖するなどの措置を取った。果たして、靴など皮革製品メーカーやタンナーの状況はどうなのだろうか。
感染者が一番多いロンバルディア州(州都ミラノ)にある、エレガンス婦人靴メーカー「Brunate」のサラ・ガッリ社長は「春夏製品の最終オーダー分は生産しているが、何日間か休業しなくてはならないだろう。その後は、政府の判断によって決める」と語っている。
タンナーが多く集まるトスカーナ州では、感染者こそロンバルディア州に比べたら少ないが、外を歩いている半分の人がマスクをしており、感染への危機感が伝わってくる。
ほとんどのタンナーはやむなく操業中止に
大手タンナー「インカス」では、一部スマートワーキングに切り替えているものの、生産に追われて現場は稼働している。しかし、そういったタンナーはごく一部で、ほとんどは稼働をストップせざるを得ない状況のようだ。
長年、現地で働く人の話では「高級ブランドに依存しているタンナーや、小規模のタンナーは売上げが激減し、今後、経営が厳しくなってくるだろう」と語っている。
国内のショップが閉鎖したことで、EU内ではすでにオーダーキャンセルの事例も出ている。こうした動きを受けてUNIC(伊タンナー協会)では3月10日付けで“イタリアレザーは止まらない”というメッセージ広告を世界に向けて発信した。
中国と仕事をしている日本の靴企業はどうしているのだろうか?
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