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特集 お出かけファミリー「キャンプ&行楽アウトドア」
市場動向 再び拡大のキャンプ市場。コロナ流行が人気を後押し

7年連続増加のキャンプ人口

自粛解除後、「3密」を避けながらファミリーで楽しめるレジャーとして、キャンプが話題となっているが、それ以前の2016年ごろからキャンプへの関心は高まっていた。手ぶらで豪華なキャンプを楽しめる「グランピング」のような、新しいスタイルのキャンプも登場している。また、一人でキャンプを満喫する「ソロキャンプ」も話題となっている。
アウトドア市場は18年時点で5000億円を超えている(矢野経済研究所調べ)。この内、キャンプやハイキングといった?ライトアウトドア&ェ野は55%を占め、右肩上がりで伸びている。キャンプ人口も19年で860万と推定されており(日本オートキャンプ協会調べ)、7年連続で伸びている。ここでは、30代の比率が拡大しているという。

キャンプ市場を狙った大型店舗の開発が進む

キャンプ市場の拡大は、店舗展開にも表れており、アウトドア専門店だけでなく、スポーツ店もライフスタイルの切り口で力を入れている。
メガスポーツが展開する大型店「スポーツオーソリティ」は、アウトドア用品の専門フロア「アウトドアステージ」を設け、アウトドアのライフスタイルを展開している。幕張新都心店ではフロアにキャンプサイトを設け、テントを20以上も張り、ファミリーがキャンプ場で過ごすシーンを演出している。「キャンプ用品はまとめ買いが多く、テントを除いて客単価は1万5000円ほど。用品の買い足し需要もあり、リピーター顧客が多い」(スポーツオーソリティ幕張新都心店)。
アルペンは「アルペンアウトドアーズ・フラッグシップストア」で、アウトドアに特化した店舗を4店展開している。19年4月にオープンした柏店(千葉・柏市)は、3フロア計2300坪という広さで、10万点以上のアウトドア用品を展開する。1階はキャンプ用品を中心に展開、中央にはテントを張り、キャンプイメージを見せている。
世界61ヵ国で1700店舗展開するフランスの大型スポーツSPA店のデカトロン。日本では5月に千葉・幕張に2号店を出店しているが、ここでもキャンプは主要なカテゴリーとなっている。「キャンプのビギナーも多く、広域からファミリー層が来店しており、キャンプなどアウトドアにニーズの高まりを感じている」(デカトロン幕張店)。
さらに、ワーキングウエア専門店の「ワークマン」が、一般の人からアウトドア用品を扱う店として人気となり、新業態「ワークマンプラス」の店舗は急成長している。機能性の高さやリーズナブルな価格のキャンプ用として注目されたのである。


タウン兼用で履けるライトなアウトドア

近年のアウトドアの盛り上がりは、キャンプやハイキング、あるいは野外フェスといわれるライトなアウトドアの人気がけん引している。ここでは若いファミリー世代のビギナーが多い。
靴については、登山やトレッキング用のハードなアウトドアは多いが、キャンプやライトなアウトドア市場を対象とした靴は今後、期待されるカテゴリーである。
東邦レマックはライセンスブランド「キャプテンスタッグ」で、キャンプ用の靴を3年前から展開している。ハスキーは今春から「トーキョー・キャンプゴー」を立ち上げ、販売を開始している。クロッグタイプも打ち出すなど、いずれもライトなアウトドアシューズで、キャンプ場で履ける防水性や防滑性を備え、タウンでも履ける脱ぎ履きの楽なタイプだ。
「メレル」の人気モデル?ジャングルモック≠ヘ、ライフスタイルモデルとして打ち出しており、ニットメッシュ使いなどよりライトな感覚のアウトドアを展開し、若い層の開拓を狙っている。
ほかにも特集の店舗レポートのように、スニーカーとは違うアウトドアの機能を備えた、ライトな感覚の靴が人気となっている。中には「ノースフェイス」や「キーン」のように、サンダルでのアウトドア提案もある。



西武池袋店 スポーツ売場

安全・近場・短期≠ニキーワードにキャンプ提案



アウトドア用品はタウン兼用が人気

コロナ禍はレジャーの考え方も大きく変化させた。外食や旅行ができなくなったことで、“イエナカ”で楽しむニーズが高まり、自宅のベランダにテントを張って楽しむ「ベランピング」が拡大。西武池袋店のアウトドア売場でも、6月には店頭にコーナー展開で「ベランピング」をディスプレイ提案し、人気を博したという。
一方、今年は本格的な登山やトレッキングは厳しい。台風で登山道がクローズドし、また山小屋が三密になるため開業できないなどの理由がある。このため今年のアウトドア用品は?兼用≠ェキーワードとなっている。
例えばキャンプにも使え、デイリーでも使えるというシーン兼用の商品や、水場でも陸上でも使える“水陸両用”など。汎用性が高く、コストパフォーマンスを求める方が多くなっている。


キャンプ用バッグはコンパクトサイズが売れ筋

「今年のレジャーは三密にならず、“安全・近場・短期”が新しい楽しみ方になりそうです。キャンプや登山は長くても一泊程度、または日帰りの方が増えたため、ザックは『コロンビア』や『パタゴニア』などのコンパクトサイズがよく動きます。女性だけでなく子供の遠足用にという新たなニーズも生まれています」(スポーツ部アウトドア係・佐藤里穂さん)。
このほか、『フォックスファイヤー』のリュックがアウトドア仕様で機能性も高いため、リモートワークでPCを持ち運ぶため通勤用に売れている。また、「ノースフェイス」の地図を入れる“マップケース”は、コンパクトさと機能性で、タウン用のサコシュとして売れているという。
また、シューズは見た目以上に“軽量感”がキーワードに。密にならない趣味として人気の渓流釣り用として、「フォックスファイヤー」のウェーディングシューズが人気に。ソールには滑らないようフェルトが貼られている。

「エーグル」のレインブーツは豪雨もあって動いている。メンズながら白いテープ使いのデザインは斬新で、今まであまり軽いブーツがなかったこともあり人気に。「イノヴェイト」はハイキング用にもタウン用にも使われ、持った時の軽さや、防水性の高い素材が支持につながっている。

▽東京都豊島区南池袋1-28-1  
TEL:03-5949-5340




シュープラザ伊勢原店

ファミリーのレジャーアイテムとして人気上昇

若い世代にも人気の「ジャングルモック」

神奈川・伊勢原市は、県内でも気軽に登山できることで有名な大山(おおやま)の玄関口となる。周囲にはキャンプ場も多いため、現地で靴などを調達する人も少なくない。このため、シュープラザ伊勢原店では、キャンプ用やアウトドアなどのレジャーアイテムを充実させている。
人気商品では、これまでアダルト世代に支持されていた「メレル ジャングルモック」が、キャンプシューズやワンマイルシューズとして、若い世代にも人気が出てきた。靴紐がなく、楽に脱ぎ履きできる気軽さが受けている。
また、「キーン」も継続して人気商品となっている。アウトドアショップでの扱いが比較的少ないことから、シュープラザのような靴専門店で探している方が多い。定番の「ユニーク」やカラフルな「ニューポート」なども人気で、つま先をホールドしつつ、サンダルとして涼しいこともポイントだ。キャンプや川遊びなどでもこのシューズを履く人が多く、ソックスを合わせることで、これからも履けるなど、3シーズン履きも人気ポイントだ。

ハードなタイプよりライトでタウン兼用に

スポーティーなタイプでは、「コロンビア」や「メレル」がカラフルなデザインとともに、大胆なロゴ使いにしたことから、若い世代にも支持されている。軽量感や防水タイプといった機能性も、キャンプ&アウトドア用として支持されている。

「アディダス」のゴアテックスを使った防水タイプのスニーカーは、馴染みのあるブランドからアウトドア用途のシューズを探している人に人気だ。本格的なトレッキングシューズでは大げさなので、普段履きにも使える兼用タイプが支持されている。
PB「セダークレスト」は手軽に買える値ごろ感と、ポップなデザイン性で売れている。シューレースもカラフルで、カジュアルなアウトドアのファッションシューズと買われている。

「アウトドアへの関心はここ数年高まっていましたが、今年はコロナの影響で、音楽フェスがほとんど中止となってしまいました。その反動もあって、キャンプやアウトドアを楽しもうという動きが出ています。三密を避けられることと、安心かつ近場というファクターから、ファミリーや仲間とのキャンプにこの界隈のキャンプ場の支持率が上昇しているようです
(大塚裕店長)。
 
▽神奈川県伊勢原市板戸8 エムアイプラザ内  
TEL:0463-93-6313