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 HANDS 渋谷店 トラベル売場

インバウンドも復調し大型ボストンが好調


日本人旅行者は軽さより利便性や機能性を重視

 3月下旬に店名も「HANDS」へと変更し、“手”をイメージした柔らかなロゴマークへとシフト。「困った時にはハンズの人に聞いてみよう」と思われるような、女性が来店しやすく、親しみやすい店舗づくりへと進化している。
トラベル売場では、今年に入ってインバウンド層も復調。「HANDS渋谷店」のスーツケースのコーナーは、連日外国人旅行者で賑わっている。特に、爆買いしたお土産を買って帰るための、大型サイズの需要が高く、業界的にも品薄状態。また急な需要で工場も追いついておらず、供給が滞っている。ケースではないが、観光客がお土産を持ち帰るアイテムとして、スタイリストが持つような100リットル超の大型ナイロンボストンを打ち出すのも、ハンズらしい提案だ。
 日本人旅行者は、まだ海外旅行へと積極的に出かけている人は多くないため、機内持ち込みサイズが中心。従来のような「軽さ」重視から、より利便性や機能性のほうへと重きを置いている方が増えている。“スーツケースの伝道師”として各種メディアに多数出演している、商品本部パーソナルスタイル商品部チーフバイヤーの佐藤宏樹さんに聞いた。


リュックキャリーが新タイプとして注目

「確かに前年比としては350〜600%超えなど、トラベル、特にスーツケースの売上げは大きく跳ね上がっていますが、トータルではまだ2019年の売上げを超えていません。日本人が購入するものは国内旅行向けの機内持ち込みサイズが中心であることと、サブバッグやスーツケースベルトといったトラベル小物の回復がまだ追いついていないのが現状です。
 ただ注目されているのが、最近のスーツケースに付加されている新機能です。コロナ期間中に断捨離などを行って、自宅のスーツケース置き場をどうしようと考えた人が増えたことから、ベッドの下などに“たたんでしまえる”といった利便性のあるものの人気が高まっています。
 またSDGsの流れから、パーツにリサイクル素材を使う、キャスターが壊れても取り替えられる、そして廃棄する仕組みまでトータルで考えられた“処分しやすい”スーツケースなど、新たな切り口で提案するブランドも増えました」(佐藤さん)。
 加えてお勧めなのが「リュックキャリー」。普段はリュックで背負い、荷物が増えればキャリーとしても引ける。シーンとしては、日常使いや旅行だけでなく、災害時などの非常用持ち出し袋としても活用を想定している。災害時は水を運ぶ必要があるため、キャリー付きの方が圧倒的に利便性は高い。「リュックキャリーで“穴”のアイテムだと思います。キャスター部分を一瞬でカバーできるマグネット式のフラップがついた対応をお勧めしていますが、思いついたらすぐリュック←→キャリーと変換できるようになれば、もっと需要が広がりそうです」と佐藤さんはば話す。

ほかの業界ともつながってマーケットを大きくしたい

 売場ではハンズらしいさまざまな工夫がある。例えば「静音キャスター」搭載のスーツケースは、あえて凸凹の板を置いて、どのくらい音が静かかを確かめることができる。また坂道ストッパーが付いているものは、あえて坂道を用意して止まり具合を試してもらえる。
 壁面には、海外旅行時の必需アイテムの紹介や、服の圧縮袋でどのくらいコンパクトかを比較するなど、手作り感あふれるユニークなPOPが掲げられている。
「17年ごろからSNSでスーツケースに関しての情報を発信し、スーツケースの伝道師としても活動してきました。この業界は、“旅の達人”は多いけれど、“旅グッズ”の達人はまだ少ない。業界内のパイを食い合うのではなく、他業界とつながって、マーケット自体を大きくしていければと思っています」。


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