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22年度靴輸入実績 (2022年4月〜23年3月の輸入通関統計から集計)
2次革靴の急増で、革靴は19年度比96%までに回復

――靴全体も2ケタ増と好調に推移


 輸入靴合計  6億0900万足 

22年度の日本の靴輸入足数は、合計6億0900万足、前年比112・5%と、前年に引き続き、2ケタの伸びとなった。この数字は19年度実績と比べると、98%とまでに回復している。また、靴市場に占める輸入靴の割合は、93%ほどになっている。
好調な伸びを見せた品目は、二次関税で輸入する革靴のほか、革・非革スニーカー、キャンバス靴。反対に前年度を割ったのは非革サンダルと一次関税で輸入する革靴だった。また前年、コロナ禍の中で好調な伸びを見せていた革スリッパが、前期を大きく割る結果となった。
輸入数量の上位10ヵ国は、いずれも前年度より伸ばしている。伸び率トップはバングラデシュでで、トップの中国以外はいずれも2ケタの伸びを見せた。21年度、前年度を割っていたベトナム、ミャンマー、タイ、ラオスも当期は二ケタの伸びとなった。
輸入靴の75%を占める中国は、ロックダウンもあったが、前年比109%と伸ばしている。同国からの輸入は、対19年度比98%までに回復している。
10位以下の欧米諸国には、スペイン、ドイツ、ポルトガル、米国が入っているが、ポルトガル以外は前期実績をクリアしており、いずれも2ケタの伸びとなっている。


 革靴  1996万足 

一次、二次革靴に革スリッパを加えた革靴の輸入足数は1996万足、前年比138・3%と高い伸びを見せなって、対19年度比96%にまで回復している。金額は材料費の値上がりや円安の影響もあり、足数を上回る伸びを見せ、1189億円、同154・9%となった。
革靴輸入のうち、一次革靴の比率は14%で、前年度より12ポイント下げている。一方で増えている二次関税での輸入の背景には、中国なども加わったEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)がさらに進捗していることがうかがえる。
前年度、上位10ヵ国のうち、バングラデシュとインドネシアのみが前々期を上回っていたが、当期は10ヵ国とも前年をクリアしており、タイ以外は2ケタの伸びを見せている。欧米諸国の中で、上位10ヵ国の中に入るのは唯一、イタリアのみで130万足、前年比123・0%と伸びている。
革靴のトップは引き続きバトナム。前年度比150・7%で、400万足を超えており、革靴全体に占める割合は20%を超えている。バングラデシュは前年比198・0%と最も伸びており、順位も4位から2位に上がるなどコロナ禍の中、ベトナムと並んで日本の関心が高まって国となった


 革靴平均CIF価格  4600円 

革靴(1次+2次)の平均CIF価格(運賃・保険料込み価格)は5310円、前年度比114%と、2ケタの伸びとなった。CIF価格については、コロナ禍でも直実に上がっており、今期は5000円台に上っている。
CIF価格については主要国の大半が上がっており、トップのイタリアは2万5420円で、前年度比125%とさらに上がっている。英国も2万円台になっている。また、平均CIF価格より上の国では、今年度はポルトガルがスペインをわずかながら上回り、順位が変わっている。数量でトップの中国は、3200円、同104%とわずかに上がっている。
一方、今年度CIF価格が下がっているのはアメリカ、インドネシア、バングラデシュの3ヵ国。主要国で最低価格のバングラデシュは2130円で、2000円台は維持している。


 1次革靴  262万足 

TQ枠を使って輸入される、一次革靴の輸入足数は262万足、前年比70・6%、金額は247億円、同105・3%となった。EPAの進捗もあり、足数は減っており、金額は製品の値上がり、円安の影響で前年を上回る結果となっている。
足数のマイナスで、TQ枠(関税割当枠)の消化率は22%にまで下がっている。この数字は前年度より9ポイント下がっている。
国別に見ると、バングラデシュ、インドネシアが大きく伸ばした一方で、中国が大きく減らしている。中国は二次革靴で大きく伸ばしており、革靴輸入が二次関税での輸入に移行していることがわかる。
トップの中国の実績は99万足、前年度比44・4%だった。一次革靴の占める割合は、前年の60%から38%と大きく下げている。2位以下のベトナム、イタリア、インドの順位は前年と同じで、5位に前年は16位のバングラデシュが登場している。
新顔では欧州のイタリアに対岸に位置するアルバニアが8位に入っており、8万足の輸入があった。主力産業は農業だが、イタリアに近いことから、近年は靴産業も発展してきたと思われる。
婦人靴、紳士靴、その他(カジュアル靴、子供靴)とも大きく下げており、その構成比は、紳士靴が31%、婦人靴28%、その他41%で、紳士靴がシェアを伸ばし、婦人靴が下げ、その他は横ばいという状況だ。
品目別のトップは、いずれも中国がトップだが、伸び率の大きい国をあげると、紳士靴はバングラデシュ、アルバニア、ドミニカ共和国、婦人靴はアルバニア、インドネシア、その他はアルバニア、バングラデシュ、インドネシアが大きな伸びを見せた。


 2次革靴 726万足 

 2次革靴の輸入足数は1726万足、前年比162・7%と、コロナ禍の中にあっても大きく伸びている。6位のイタリアを除いて、周辺アジア諸国で、いずれも前年実績を上回っている。中でも中国が181万足、前年度比942・6%と大きな伸びを記録している。
 品目別では紳士靴31%、婦人靴19%、その他50%の構成で、その他が圧倒的だが、紳士靴のシェアも伸びている。
 品目別に輸入国の内訳を見ると、紳士靴と婦人靴でイタリア、スペイン、ポルトガルといった欧州勢も上位10ヵ国の中に入ってくる。アジア諸国は紳士靴、婦人靴のトップが中国で、その他はミャンマーがトップなっている。
 二次革靴の輸入合計では、上位国はいずれも伸ばしているが、品目別では、インドネシアが紳士靴とその他で前年度を割っている。また、ミャンマーは婦人靴で前年実績よりも下げている。
二次革靴の10 位以下の輸入では、ルーマニア、スロバキア、ギリシャ、クロアチアといった欧州の国からの輸入も見られる。


 スポーツ靴 5541万足 

20年度は前年を割っていたスポーツ靴(スニーカー)も、21年、当期と2年続けて伸びている。当期は7654万足、前年度比138・1%と大きな伸びを見せた。内訳は革スポーツ靴2137万足(同140・6%)、非革スポーツ靴5517万足(同137・2%)。19年度に対して革スポーツは38%増、非革スポーツは14%増と、すでにコロナ前を上回る実績となっている。
スポーツ靴全体に占める革スポーツの比率は、数量で28%、金額で36%。輸入国の上位8位までは前年度と同じ国で、9位のバングラデシュ、10位のポルトガルが高い伸び率を見せ、新たに登場している。
数量で72%、金額で64%を占める非革スポーツは、平均CIF価格は2100円ほど。中国、ベトナム、インドネシア、カンボジアがおもな輸入国で、この4ヵ国で98%を占める。今年度大きく伸びている国は中国、ミャンマー、イタリアで、ロックダウンの行われた中国だが、日本が大きく依存していることがわかる。


 キャンバス靴 3億6200万足 

 足数で全輸入靴の59%を占めているキャンバス靴。当期は足数3億6225万足、前年度比121・1%、金額1958億円、同139・2%と、数量、金額とも前年度に続き、2年連続の伸びを見せた。
 キャンバス靴の85%は中国からの輸入で、足数3億0878万足、前年度比119・3%と2ケタの伸びを見せた。上位10ヵ国はいずれも2ケタの伸びとなったが、当期初めて10ヵ国入りとなったバングラデシュは、キャンバス靴でも注目される国となった。10位のイタリアも初登場国である。


 ゴム・ケミカル靴 1億4000万足 

 ゴム・ケミカル靴の輸入足数は1億4013万足、前年度比109・5%となった。輸入靴全体の足数で23%、金額で27%を占める。平均CIF価格は1320円ほどになる。  
 国別に見ると、トップの中国は1億0939万足、前年度比105・2%と、1ケタの伸びに留まっているが、同国のゴム・ケミカル靴のシェアは全体の78%を占めている。
 当期大きな伸びを見せたのがブラジルで、ラオスが10ヵ国害になっている。ほかには、前年度は低迷した台湾が再び伸ばしたほか、ミャンマー、カンボジアも復活している。


 非革サンダル 1072万足 

 革サンダル以外の非革サンダルの輸入足数は1072万足、前年度比24・0%と、前年度を大きく割っている。金額は1189億円、同46・5%と、前年度の2ケタ増から、大きく下げる結果となった。
 当期、前年をクリアしたのはスペイン、イタリアの2ヵ国のみで、アジア勢とブラジルはいずれも前年度を大きく割っている。これまでトップ10ヵ国の常連だったドイツは、当期は10位内には入っていない。全体傾向としては、非革サンダルも中・高級品が好調で、低額品は低迷する結果となった。