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企業レポート ダイアナ

PBスニーカー「+diana(プラス ダイアナ)」。立ち上げ4年目で売上げは3倍に拡大

ダイアナが作る大人のスニーカー

ダイアナといえば、「おしゃれできれいなパンプス」を連想する人が多いのではないだろうか。そのショップに「プラス ダイアナ」のスニーカーが並ぶようになったのは、2019年4月のことである。
 「当時すでに、スニーカーはライフスタイルの一部となっていました。ですが、それはスポーツブランドが中心。もっと大人っぽい、キレイ目ファッションが好きな人もいる。今履いているスニーカーに満足していない人たちがたくさんいるのではないか、と思ったのです」(執行役員 新ブランド事業推進部 竹田憲章部長)。
 そこで、「大人の女性のダイアナのイメージに沿ったスニーカー」が作られることになった。
 コンセプトを「スマートなスタイルに、遊び心をプラスしたスニーカー。オフィスでもプライベートでも、シーンを超えて自分らしいファッションで今のライフスタイルを楽しむ、大人のためのスニーカーブランド」としている。

踵回りを削った木型ですっきりシルエットに

 では、どのような商品が生まれたのか、具体的に見ていこう。
まずは、木型が工夫され、「すっきりときれい目」になっていること。一般のスニーカーを履くと、踵回りや土踏まずの部分にどうしても隙間が空いてしまうが、その部分を削ってすっきりとスタイリッシュに見せた。
 最も「ダイアナらしさ」が出ているのが、その華やかなデザインだ。グリッターやビジュー、ラインストーン、パールの飾り、また踵部分のキラリと光る金具など、ディテールに女性らしさを入れ込んでいる。
カラーの売れ筋はモノトーン、特にホワイトだが、スポーツブランドと異なるのは、ピュアホワイトではなく、アイボリーやオフホワイトに振っていること。これも、柔らかさ、女性らしさを出していくための工夫だ。
 「昨年夏から大ヒットを続けているのが、ヒールアップスニーカーです。6センチと9センチのタイプがあり、足に傾斜がついてキレイに履くことができます。ダイアナブランドの持っている『スタイルよく履ける』ことにも通じ、ブランドのアイデンティティでもあると感じています」。
 実は、他のタイプでも「キレイに履く」ことができるように、1センチのインヒールが入っているなど、傾斜がついているものが多い。ブーツタイプのニットスニーカーでは、足首を絞って細く見せるなど、細かなところまで気配りされている。


汚れや傷に強い人工皮革を採用

 履き心地も好評だ。まず、インソールのクッション性が高いこと。二重構造の中反発クッションを使ったもので、基本的にカップインソールになっている。次に、アウトソールが弾力性に富んでいること。軽い発泡EVAを採用しているが、削れにくくするためラバーをプラス。靴底には細かな+を組み合わせた意匠が採用されていること。隣り合った+間には0・5ミリの高低差があり、これによって弾力性が増していく。
 「ダイアナは革靴ですが、プラス ダイアナは人工皮革を採用しています。皮革は雨や傷に弱く、お手入れも面倒です。スニーカーはよりカジュアルに、雨や傷を気にせずにどんどん履きたい。それなら、革より人工皮革のほうがいいわけです。合成皮革ではありません。合成皮革は硬く、足なじみも少ないですが、人工皮革は下地が天然皮革と同じ構造のため、柔らかくなじみます。雨にも強く、お手入れも楽でスニーカーに最適な素材だと考えています」。


幅広い年代層にファン層を広げる

 プラス ダイアナの売上げは年々大きく伸長し、今では最初の年の3倍以上になっている。中心価格は1万4000円ほど。プラス ダイアナは、ダイアナが展開している「ダイアナ」「アルテミスバイダイアナ」、百貨店が中心の「タラントンバイダイアナ」など各業態、約100店舗にほぼ入っており、店頭での見え方は約20%程度。
 ファン層は30代を中心に10〜60代と幅広い。面白いのは、例えば来館層の異なるルミネエストでも、ららぽーとでもよく売れること。それだけ、いろいろな世代にアピールできるという。
「大好きなダイアナのスニーカーがはけて嬉しい」「女の子っぽくて、私のファッションによく合います。お気に入りです」「ダイアナのハイヒールを履いていましたが、ママになって履けなくなりました。ダイアナからスニーカーが出てよかった。愛用します」などの声も、続々と届いている。



「プラス ダイアナ」の独立店舗の展開も

 ディスプレイにもこだわりがある。竹田部長は「スポーツブランドによくあるスニーカーウォールにはしない」と言い切る。店頭では、ラグジュアリーブランドのようにバッグと上手にコーディネートしている。
 そのラグジュアリーブランドからも、スニーカーが多く登場するようになってきた。
 「まだ、キレイ目スニーカーを履いている人は少なく、認知度が低いと思います。だから、もっと増えてほしい。商品として、デザイン、履き心地、品質ともに最高のものづくりである自信があります。多くの人にキレイ目スニーカーを履いてもらい、その中でプラス ダイアナを選んでいただきたいと思っています」。
 これからも成長を期待されているプラス ダイアナ。今後は、プラス ダイアナだけの独立店舗の展開も視野に入れている。

ダイアナ
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