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セミナー Thinking Leather Action皮革・革製品はエコでサステナブル


5月開催された東京レザーフェアの会期中に、日本皮革産業連合会が昨年から事業として行っている、皮革・革製品のサステナビリティを発信していく「Thinking Leather  Action(TLA:シンキング・レザー・アクション)」のセミナーが、フェア来場者を対象に開催した。講師はTLA座長の川北芳弘(川善商店社長)氏。

環境への関心は高いが、皮革は誤解されている

日本皮革産業連合会による「生活者意識調査2022」では、約7割の人が環境問題に関心があり、そのうちの約9割が、何らかの取り組みを行っている、という結果だった。
しかし、革はエコでサステナブルは素材であるにも関わらず、皮革・革製品のための動物を殺しているなど、皮革に対して主に「4つの誤解」があり、その誤解がSNS・メディアで拡散しているという。

皮革・革製品に対する4つの誤解

1. 「皮革・革製品のために動物を殺している」という誤解
        
 ・皮革・革製品は食肉用の副産物である皮を活用して製造しており、革・革製品を作るのをやめても、食肉文化が続く限り、と畜は継続する。
 ・動物の血や骨は、化粧品、医療、油脂、コラーゲン、ゼラチン、肥料に活用される。
 ・牛1頭の飼育費用83万〜134万円。対して革1頭分は2万〜5万円の値段で取引され、革を作るために飼育・と畜する意味はない。


補足情報
毛皮をやめても、皮革使用はやめないハイブランド
 ・日本皮革産業連合会によるブランド遍歴調査によれば、世界の著名ブランド(売上高規模上位27社)は2022年11月現在、皮革使用を継続している。
 ・ファストファッション6社、自動車16社も皮革使用を継続中。




2. 「革製品を作るのをやめれば、畜産でのCO2が減る」という誤解
        
 ・革製品を作るのをやめても、飼育の主目的は食肉・搾乳であり、頭数に影響はなく、畜産によるCO2は減らない。
 ・革の生産をやめれば、廃棄される皮の焼却で大量のCO2が排出されることになる。




3.「天然素材は環境負荷が大きい」という誤解
        
・素材の誕生から廃棄までを比較すれば、使用期間の長い天然皮革は、環境負荷が少なくサステナブル。
 ・畜産動物は肉や乳製品のために飼育されており、放牧拡大による森林破壊と、副産物である皮革・皮革製品とは関係がない。
 ・革の製造段階で排出される排水に対し、日本の排水処理は世界トップクラスで環境負荷の問題はない。




4. 「革の代替素材(ヴィーガンレザーなど)は皮革よりサステナブル」という誤解
       
 ・ヴィーガンレザーは@つなぎに石油系を使っているA皮革より製品寿命が短いB強度が劣るなど、皮革と比べてエコでサステナブルとはいえない。
 
補足情報
動物由来の製品のみ「レザー」という用語を使用
・「革」「レザー」は、腐敗しないようになめした動物の革を指す。動物由来のもので、皮本来の繊維構造を損なっていないものである。
・イタリア、ポルトガル、ブラジルでは、動物由来以外の製品に「レザー」という用語を使うことを法律で禁止している。
・ヴィーガンレザーの例
 きのこレザー/アップルレザー/コーヒーレザー/ウッドレザーなど