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企業動向 ジーフット

アスビーブランドへの統一で売場、MD改革を推進

前期は72店の退店、35店を「アスビー」に改装

ジーフットは前期(23年2月期)から4カ年計画で事業再生に取り組んでいる。前期は経営基盤の再構築を掲げ、不採算店舗の整理、アスビーブランドへの統一を実施した。同時にMD構造改革として、販売機会ロスの撲滅、過剰在庫の削減、店舗に沿った品ぞろえの見直しに取り組んできた。
前期、不採算店や今後利益が見込めないと判断した店舗72店を退店し、3店舗の新規出店を行い、並行して「アスビー」への改装を32店舗で実施した。ここでは「グリーンボックス」のショップを「アスビー」に変更している。
「これまで社内では、『グリーンボックス』は団塊世代以上がメインターゲット、『アスビー』は若いファミリー層がメインターゲットなどのイメージを持ちながらお客さまのニーズを考えていました。しかし、来店客の分析では、どちらも私たちの店舗にご来店されるお客さまであり、我々のイメージだけで品ぞろえや売場作りを考えるのではなく、アスビーブランドに統一する中で、もっと地域ニーズに沿った品ぞろえや売場に変えていくことが狙いです」(経営企画部長・中村好昭さん)。

改装後の売上高は1・2倍に。今期は109店舗の改装計画

売場作りでは、通路幅を広く取り、入りやすく、見やすく、買いやすい売場を目指している。店頭にはデジタルサイネージを置き、タイムリーに商品を案内するほか、靴とのコーディネイトも流しており、購買モチベーションのアップに効果を上げている。また、これまでのセルフ中心の販売方法から接客中心の販売方法へのシフトにも取り組んでいる。
品ぞろえの見直しでは、サイズ欠品による販売機会ロスを減らすため、在庫数をこれまでの3分の1に減らし、反対に1アイテムのサイズ在庫を3倍に増やしている。また、市場トレンドや販売実績に基づいた全店共通の品ぞろえと、雪寒地など地域性や店舗特性に合った品ぞろえの2本立てで、部門別構成比を大きく見直している。
この結果、改装後の売上高は平均1・2倍で推移しており、好調店の中には2倍になっている店舗も出ている。好調店の中には改装1号店となった「アスビー市川妙典店」や5号店となる「アスビー板橋店」がある。
前期、35店舗の改装で、350店舗ほどある「グリーンボックス」の9%ほどがアスビーブランドに統一された。今期はすでに15店舗が実施されており、今後も加速化させる意向で、期末までに合計109店舗を計画している。


百貨店市場で好評なキッズ専門店の接客

 ジーフットは2年ほど前から百貨店の中に売場を出している。現在、池袋東武百貨店の子供用品フロアに「アスビーキッズ」を、紳士用品フロアに「アスビー」を、新宿京王百貨店に「アスビーキッズ」を出店している。
 紳士靴売場での「アスビー」展開では、これまで百貨店での取り扱いが少なかったスニーカーやスポーティー・カジュアルを展開している。「アスビーキッズ」では、「イフミー」や「スクスク」を軸に、NB(ナショナルブランド)の子供スニーカーやPBの「マッドフットキッズ」で構成している。
 「百貨店の靴売場で取り扱いが少ないカテゴリーを補う形で、出店機会をいただきました。ジーフットの店舗の約85%がイオングループの商業施設であり、新たなマーケットへの出店は好機ととらえています。品ぞろえは、基本お任せいただいており、出店環境に合わせた品ぞろえ展開を心がけています」。
 好評なのが「アスビーキッズ」の展開だ。売場では足型計測を行い、足のサイズだけに留まらず、子供の足がいまどういう状態にあるかを説明している。時間をかけたフィッティング販売にも、じっくりと時間を取ってもらえ、顧客からは「ここまで対応していただいて」と感謝され、出店先からも評価されているという。
 「アスビーキッズ」の平均客単価は4500〜4600円。これはほかの同社業態よりも高く、今後も百貨店市場でも店舗を増やしていきたい考えだ。


PB比率の拡大を目指し、生産拠点をアセアンに拡大

 今期のMD改革での重点取り組みでは、粗利益率の改善を目指してPB商品の拡大を上げている。前期のPB比率は31%だったものを、今期は35%を計画する。ここではスニーカーを含むカジュアルとキッズを主力に拡大を目指す。
 ジーフットのPB開発は、現在380店ほどに導入されている足型計測器「フットナビ」で得られたデータを基にしており、ウイズにこだわり、3E、4Eサイズ商品で、足にやさしい、履きよい商品を開発している。
 生産・調達拠点はこれまで、婦人靴を中心に中国が主力だった。しかし、スニーカーなどカジュアルが増える中で、スポットが利き、ヨーロッパ向けのスポーツを得意とするベトナムやカンボジアなどアセアンへ分散・移行させる意向だ。計画ではアセアン生産の比率を、これまでの9%から30%に拡大する計画だ。
MDでは、市場では競合関係にある小売店チェーンのダブルエーのPB「オリエンタルトラフィック」と、同スニーカーブランド「ORTR」を、「アスビー」の10店舗で扱っている。
 扱いについては売場からの要望も受け入れながら、ダブルエーの提案で展開している。特別感のある靴として導入店では差別化ができており、客単価のアップや品ぞろえのバリエーションを増やすことに貢献しているという。