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ショップ訪問 レディースキッド(東京・豊島区)
独自の社内資格や研修制度を設け、ていねいにフィッティング

シンデレラ、モデルサイズ、i/288もそろえる


 「レディースキッド」は、東京・池袋東口近くの繁華な地区の角地に3層の店舗を構える婦人靴専門店だ。創業は1950年、85年にレディースキッドとして開店している。当初から地下1階にはシンデレラサイズ(20〜21・5センチの小さいサイズ)の靴を、2階にはモデルサイズ(25〜27センチの大きいサイズ)の靴を置く。2017年には、オーダーパンプスi/288(アイニーハチハチ)をスタートしている。
 顧客層の中心は20〜40代の女性で、都内を中心に埼玉県や神奈川県はもちろん、市場には少ない希少サイズを豊富にそろう靴店として知られ、全国から来店がある。
i/288はオーダーパンプスのため若干価格が張り、コア顧客は30〜40代。20代の女性は「就活のため」「大学の入学式用に」など「人生の節目」のための靴をオーダーを、30・40代の方は、きれいなパンプスを履きたいけど、履けない…といった女性がオーダーする。シンデレラサイズ・モデルサイズともに2000SKU超えと品ぞろえは豊富だ。
i/288は、最大288サイズパターンと10種類以上のモデルパターンの中から試着ができ、豊富なカラー&レザーをお好みにセレクトできる。さらに、希少な細いウイズで作られた店舗オリジナルのパンプスブランド「エッセンシア」も用意している。コンテンツがこのように充実していることも、多くの顧客たちから長く支持を集めている理由だ。

「シューカウンセラー」が靴選びをサポート

 「レディースキッド」の特色は、ていねいなフィッティングにある。フィッティングは全フロアで行われており、6人のスタッフ全員で対応している。
 「お客さまが求めるものを優先しつつ、今までの靴の選び方・靴足に対する悩みを細かくうかがいながら、計測したデータに基づいて説明、フィッティングしていきます。すると、ご自身の足に対するお客さまの認識の違いや、計測値どおりに選ぶだけでは合わないなど、さまざまなズレが出てきます。サイズやウイズだけを合わせたとしても『ここが痛む』『ここがゆるい』ことになってきますが、そのさまざまなズレをどれだけ解決していき、お客さまの望む形にサポートして持っていけるか、そして、今後お客さまがご自身で靴選びに迷わないための知識もお伝えしています」(シューカウンセラー 田邉和也さん)。
レディースキッドには、「シューカウンセラー」という社内資格がある。フィッティングと解剖学の知識を合わせた精度の高いもの。田邉さんは2段階目のランクを取得している。この社内資格は年に2度の試験(実地とペーパーテスト)が実施され、そのための研修制度も整えられている。
これは、レディースキッド代表取締役の小堤啓史氏が解剖学やフィッティングの知識が豊富でその道の第一人者であり、各所で講義を行っていることとも関係している。特に社員にはシューカウンセラーの資格を取得することが求められており、すでに2人が取得済みである。


接客では専門用語を使わない

 接客では、解剖学も踏まえてフィッティングを行うが、ときに医療用語が出てしまわないように注意している。「こうしたら治ります」「良くなります」も、言ってはいけない言葉だ。
 「レディースキッドにご来店いただくお客さまへは、“サイズに悩まず足にフィットする靴が選べる喜び”を知り、ここに来てよかったと思っていただきたい。そんな体験をしていただければ嬉しいです」。
 以前は「パンプスを履いてキレイに歩きたい」女性のために、講師も呼んでウォーキングレッスンをしていた。コロナ禍のためこのようなイベントはずっと中止になっていたが、コロナの5類移行とともにマスクを外す機会が増えた現在、女性の永遠のテーマでもある『美』を意識する女性が改めて増え始めると考えている。店内奥の壁に備え付けられた大きな鏡に、パンプスを履いた女性たちのウォーキングシーンが映るのももうすぐだ。



東京都豊島区南池袋1−23−7
TEL:03・3981・3456