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特集 ファンを作る接客

グリーンボックス 幕張新都心店

エンターテイナーとしてお客に驚きと感動を与える


接客でのアドバイスが娘さんから感謝された

4つのモールで構成される巨大SCのイオンモール幕張新都心店。「グリーンボックス」はグランドモール≠フ中のイオンスタイル≠フ中に150坪の売場を構える。ほかに、ファミリーモール≠フ中にキッズ売場を15坪の広さで展開している。販売員は楠戸真(ルビ:くすどまこと)店長を含めて11人おり、この内グランドモールの売場は7人体制で販売にあたる。
28歳の店長のモットーは「売場ではエンターテイナーとして、お客さまを感動させること」という。これは、6年前にイオングループの入社式で「自分は小売業のエンターテイナーになります」と全員の前で宣言したことだ。
「お客さまの知らないこと、気づかなかったことを伝え、お客さまを驚かせ、感動させることで、お客さまに『いつの間にかファンになっていた』と思っていただけるような接客を心がけています」(楠戸店長)。
売場には2Dの足型計測器を置き、計測を通した会話の中で、足の状態や歩き方などをアドバイスしている。
「興味本位で計測器に乗ってもらっています。そんな中で、足裏の圧に偏りがあるお客さまがおり、お聞きすると腰痛で悩んでいるという方がいました。そこでお風呂上りに、体の筋肉をこう伸ばしてください、とアドバイスしました。すると後日、娘さんから『一緒に旅行に行くことができました』といった感謝の言葉をメールでいただきました」。
こうした対応から、5月度のCSオールスターズ月間MVP≠ニして、イオンスタイル幕張新都店の店長から表彰されている。

体育大学で修得した骨や筋肉の知識を活用

入社6年目の楠戸店長は、まだシューフィッターの資格は持ってはいない。しかし、日本体育大学でアスリートパフォーマンス分析を学んでおり、中学校、高等学校保健・体育の教員免許を持っている。部活動では陸上競技部に所属した関係で、足医学的な骨や筋肉に関する知識は豊富だ。
今年3月にジーフットで行われた、販売コンクールではCグループ第1位に、また、6月に行われた「コアライト+BMZ」のアシトレサンダルを重点商品とした販売コンクールでは、全社第1位に輝いている。
スタッフ全員が力を合わせて販売した結果だが、「サンダルは浮き指を改善する商品で、足の知識が必要となるもの。接客での会話を通して提案する商品であることを、全員で共有して販売に臨んだ結果だと思います」と話す。
スタッフのモチベーションアップで取り組んでいることに「売り逃し管理表」というものがある。これは楠戸店長が作った店独自のもので、売り逃した商品をスタッフ全員が申告し、誰もが見られるよう表にしたものだ。
「サイズやカラーがないことで売り逃した商品だけでなく、売場では扱っていないブランドやアイテムで、お客さまから要望されたものを、対応したスタッフだけの会話に終わらせず、記録に残すものです。売場にない商品でも要望を聞くことは、会話のきっかけにもなります」。
売り逃し商品の中に来店客の新たな動きや商品傾向があるのではないか、という考えで、これもスタッフ全員で取り組んでいることだ。


演出やレイアウト工夫で接客時間を増やす

再来店を促す仕掛けとしては、自動で撥水加工を施す「インボックス」というシューケア装置がある。一回の撥水加工で効果が約6週間持続するというもので、レジの横に装置を置き、会計の際に6週間後の利用を案内するなど再来店を促している。
150坪といった広い売場での販売は、積極的に接客対応するゾーンとセルフ販売を基本とするゾーンとに分けている。具体的には、壁面や柱回りが接客ゾーンとなるが、例えば人気商品の「スケッチャーズ」に関心を持った方は、ほかにはどのような商品が履きたいか、といったことを想像し、導線が伸びるようにレイアウトしている。
「基本的には一定の価格ラインで分けるが、ヘップサンダルや上履きなどついで買いの商品でも、接客ゾーンの導線上に置くことで、複数買いにつなげています。対応を分けることで、接客の時間は長くできます」。

千葉県千葉市美浜区豊砂1−1グランドモール内イオン幕張新都心店2F
TEL:043−299−3143