今月の記事・ピックアップ 2023・9
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特集 雨でも平気な「靴・バッグ」

 そごう 横浜店 (横浜・西区)

ゴアテックス搭載の商品はすぐに売れてしまう



防水スプレーやはっ水加工も勧める

 そごう横浜店地下1階婦人靴売場は、品ぞろえと集客力で地域の中核店的存在だ。8人ものシューフィッターを抱え、フィッティングやサービス面でも充実している。
 婦人靴売場全体が縮小気味で、「晴雨兼用」「レイン」についても特にコーナーを設けてはいない。その分、「考え方を変えて販売している」と、営業T部婦人雑貨課婦人靴係 シューフィッター 國井千秋さんはいう。
 「ゴアテックス搭載のニューバランスがすぐに品薄になる、アサヒシューズのトップドライの売上げが伸びているなどなど、ニーズはあると思うのですが、晴雨兼用シューズ全体の供給が少なくなっているようです。そこで当フロアにある『ミスターミニット』さんのはっ水加工サービスをご紹介し、同時に『防水スプレーを使えば、普通の(はっ水加工していない)靴も雨の日でも履いていただけます』とお伝えしています」。
 例えば防水スプレーは「アメダス」中心にお勧めしている。「防水スプレーは長持ちするわけではないので、まめにかけてください」と正しい使い方をきめ細かく伝えていく。
 さらに、はっ水、防水、晴雨兼用などそごう横浜店独自のアイコンを作り、目線を上手にリード。晴雨兼用シューズを探している方を自然に売場に導いていく。

相手の立場に寄り添いきめ細やかな接客

 國井さんは「晴雨兼用シューズは少なくなっている」とはいうが、各ブランドショップの中にはかなりある。「卑弥呼」では「はっ水」ばかりでなく独自に素材を開発した「防水シューズ」も作っており、POPで「はっ水と防水はどう違うか」説明している。
 カワノの「ヴィタノヴァ」からは、ロングレインブーツが出ている。ライズの「ルフレジュイール」は、今期初めて晴雨兼用タイプを企画した。銀座ヨシノヤには細い足のためのブランド「ホッソリーナ」や、セカンドブランド「フレスカ」があるが、いずれも晴雨兼用を用意している。
 晴雨兼用ブラックパンプスの注目株は、ワコールの「サクセスウォーク」だ。ことに就活の女子学生には絶大な人気を誇る。
 國井さんは「雨でも履けるパンプスを一足持っているといい、足が濡れた状態で面接を受けるのはイヤですよね、ストッキングの換えもお持ちになったほうがいいですよ、面接官には、足元もしっかり見られていますよ」と、就活の先輩として伝え、「助かりました」とお礼の電話をもらったことも。
 「防水・はっ水スニーカーがあると、もっと売れるかもしれません。シニアの方々も履くウォーキングシューズにも、晴雨兼用や滑り止め、転倒防止などの機能がついていると、より歓迎されるでしょう」と國井さん。

神奈川県横浜市西区高島2−18−1
TEL:045・465・5142(直通)





 松屋 銀座本店 (東京・中央区)

撥水加工の上質合皮パンプスが伸びる

レインブーツ代わりに晴雨兼用を提案

 外国人観光客の姿も多くなり、すっかり賑わいを取り戻した銀座通り。松屋 銀座本店の店内も買い物客であふれ、ラグジュアリーブランドショップの前には入店待ちの列ができていた。売上的には、すでにコロナ前の2019年(同期比)を超えているという。
「ただ、3階婦人靴売場のお客さまは日本の方が8〜9割。中心は近くにお住まいのミセスの方々で、在宅ワークが終了したOLさんたちも多くなっています。その傾向は売れ筋にも反映され、きれいめのパンプスの売上げが伸びています。オケージョン対応のパンプスを探すお客さまも増えてきました」(自主運営部 婦人課 MD担当 伊勢田京平バイヤー)。
晴雨兼用シューズの中心も、やはりきれいめのパンプスやローファーが中心となり、本格的なレインブーツはあまり置かれていない。
ライフスタイルの中でも「本格的な雨が一日降り続く」日でないと履かれなくなっているからだ。
職場に靴を置いておいて、雨の日の外履きだけレインブーツというケースもよく見られるようになったという。




「いつでも履ける」が販売の決め手に

晴雨兼用シューズは合皮が中心だが、クオリティが高く、見た目、触感ともリアルレザーと変わらない。これにはっ水加工を施す。機能的にも「突然の雨にもとまどわない」ことが重要なのだ。
はっ水加工されたエナメルタイプが多く、シルエットはプレーンパンプスで、ヒール高は3〜5センチ、価格帯は1万〜2万円台が中心。アッパーにリボンなどワンポイントあるデザインが好まれており、カラーはベージュ、黒、シルバーなど。ブランドは「卑弥呼」「モード・エ・ジャコモ」「オギツ」などで、「ミハマ」からははっ水レザーのブラックパンプスが登場している。


松屋 銀座本店では、8月上旬から3週間ほど「晴雨兼用パンプス」のコーナーを設けた。ちょうど台風の襲来で、ときおりざっと雨の降る不安定な天気が続いた時期でもあり、タイムリーだったといえる。
「接客についていえば、『雨に強いパンプスを』とお求めになる方には最初からお勧めしていきますが、むしろ『晴雨兼用ですよ』とお伝えし、『一足で二役履けるのね』とプラスの一押しになることが多いですね。いつでも履けることが、販売の決め手になっています」。
「晴雨兼用」靴には、靴に雨マークのタグが付いており、中にはミハマのようにインソールにアイコンが描かれている靴もあって見やすい。
松屋 銀座本店では「晴雨兼用パンプス」を年間商品として位置付けており、今後もときおりコーナー展開していく予定である。

東京都中央区銀座3−6−1
TEL:03−3567−1211