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シューズイナムラ(栃木・足利市)

コンフォートを扱う市内唯一の専門店。幅広い価格帯・品ぞろえで顧客獲得


コンフォートに関心高まる中、シューフィッターの資格取得

 「シューズイナムラ」は、栃木県の館林駅から東武伊勢崎線を乗り継いで10分ほどの福居駅近くにある。東照宮への勅使が通った日光例幣使街道に面しており、有名な「八木節」が生まれたという歴史のある地区である。
 シューズ イナムラを守っているのは、及川陽子店長である。ご主人と二人、長年店頭に立ってきた。
 「この店は、私の父が1939年に創業しました。東京で靴造りを学んだ父は、ここで注文を取ってオーダーメイドの靴を作っていました。父が亡くなった後、母と私が後を継ぐことになったのです。やがて既成靴の時代になり、その後、もっと足によい靴を履こうという流れになりました。そのため、足のことを知ろうと、シューフィッターの資格も取得しました」(及川店長)。

アサヒシューズの販売で多くのリピーター獲得

 店舗は、20坪ほどの路面店だ。店頭には「アサヒメディカルウォーク」ののぼりやポスターがあり、これが主力商品であることがよくわかる。店内にはほかに「アサヒフットケア」「快歩主義」などアサヒシューズのブランドが並ぶ。
 顧客はシニア層が中心で、地元足利を始め、小山、野木、太田、壬生、古河、佐野など北関東の栃木・群馬・茨城の3県にまたがる。販促は新聞の記事広告で、見た人が問い合わせて来店し、「足にトラブルを抱えている」「合う靴がない」という人たちが、アサヒメディカルウォークを試着、購入していく。リピーターも多く、アサヒシューズから表彰も受けている。
 「アサヒメディカルウォークの導入は、2006年ころからです。靴の踵にあるスクリューが特色で、これを履くと膝の痛みが違ってきます。もっとクッション生性のいいものがほしい、足裏が痛い、という方には、『アサヒフットケア』がお勧め。軽くてクッションがよく、価格も8800円とお手ごろなのも歓迎されている理由です」。
 紳士、婦人、子供とフルラインで、婦人靴が約6割と多い。アサヒメディカルウォークの価格帯は1万4000〜2万2000円だが、「パンジー」「ダンロップ」「MKミッシェルクラン」など2000〜4000円台とお手ごろな価格のスニーカー類もそろえる。
ヘップサンダルや農家には必需品である長靴も並べる。また、店奥には、ダンスシューズのコーナーもある。同店は昔からダンスシューズを扱っており、今では扱い店が少なくなったことから、遠方からも来店があるという。
サービスはきめ細かく、ダンスシューズでは、もし「もう少し幅を広くしてほしい」などのニーズがあれば、メーカーと交渉してセミオーダーシューズを製作することも可能だ。

お母さんの後にを継いで、娘さんも専門知識を学ぶ

及川店長は、ちょっと変わったエピソードも披露してくれた。
 「入れているヘップサンダルや長靴は、日本製のため価格が高め。でも、品質がよくてすぐに壊れることはありません。一方、量販で売っているヘップサンダルや長靴は、安いですがすぐに底がはがれたりする。するとお客さまがやってきて、『壊れちゃって!』と文句を言いつつ、買っていってくださるんです」。
 文句の一つも言えるというのは、及川店長の気さくな人柄によるものだろう。実際、このお店には居心地の良さがあり、「足の悩みを打ち明ければ、きっと相談に乗ってくれるのでは」と思わせる何かがある。
 今や、足利市で唯一の靴専門の個人商店となったシューズイナムラ。最近、お嬢さんがシューフィッターの講義を受講しているという。広く顧客を持つ同店が続いていくことは、地元にとって、大切なことではなかろうか。

栃木県足利市福居町618
TEL:0284・71・0093