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特集 機能もファッションも大人目線「子供靴(Kids)」

・ 価格が上がっても、スニーカー系のベビー、キッズの売れ行きは好調だ。
・ デザインに加え、防水・消臭・抗菌・クッション性など機能性でも大人目線のものが登場している。
・ 売り方は多彩。セルフ販売、足型計測器、フィッティングを重視のほか、足の発育を啓蒙する売場も。





シュープラザ 立川フロム中武店 長靴代わりの透湿・防水機能を備えたPBがヒット


フィット感が調整できるダイヤル式の靴も大人気

 チヨダが展開する「シュープラザ 立川フロム中武店」は、立川駅北口から徒歩2分の繁華な大通りにあるファッションビル「フロム中武」の2階にあり、子供靴の売場も充実している。
 「立川はファミリー層の多い街ですが、一方でシニアの方々の比率も高い。ご両親とお子さんだけでなく、おじいさん、おばあさんがお孫さんをつれて『プレゼントに』と購入される姿もよく見かけます。平日は小学校低学年のお子さん、週末は幼稚園や小学校高学年のお子さんが多いです」(黒木隼人店長)。
 子供靴はキッズとジュニアに分けられるが、この売場の主力はジュニア。大人気なのがPB「セダークレスト」のダイヤルシューズだ。脇のダイヤルを引くと靴ひもが緩み、押して回すと絞れる。面ファスナーでもひも靴でもないのでフィット感が自在に調整でき、脱ぎ履きも楽だ。
 同じ「セダークレスト」の子供靴のラインアップで、ユーテリティスニーカーも人気だ。こちらは透湿・防水機能を持つもので、近年では雨の日でも長靴を履かない傾向にあり、そのニーズに対応したもの。
 子供靴独自のブランドも開発している。男の子の「GXR」、女の子の「チャーミーキャンディ」の一部商品は、ソールの軽量化とアッパーにメッシュを採用しており、お手頃価格のため「お持ちすると一発で決まり、リピーターも多い」とのことだ。

「足あとカード」発行で再来店を促進

 「子供靴の接客では、まず計測板で足を測定します。インソールの上に足をのせて、サイズを付き添いのご両親と確認。試し履きの際には、つま先周り、足幅に注意しています。シューフィッターも2名在籍していますので、より細やかなフィッテイングができると思います。『シューフィッターの方に足を見てほしい』と指名なさるお客さまもいらっしゃいます」。
 チヨダでは「足あとカード」を配布、足を計測した数値を記入。次に計測したときに0・5センチ以上大きくなっていると、税込み1100円以上の定価商品(子供靴)が10%オフとなる。これが、再来店を促す効果をあげている。
 「最近では、お子さんが自分で色や形などをお選びになります」と黒木店長。幼稚園児でも小学生でもその傾向があるようで、そのために「お子さんたちが自分で見られるように」目線を下げた売場としている。とくにキッズでは気を遣う。上履きやフォーマル、レインの売場は常設しているが、小学校高学年になると上履きなど自分で買いに来るという。
「販売するときにしっかりしたアドバイスをしないと、お子さんが(痛い、ゆるいなど)靴にイヤな思いを持ってしまいます。大切なお子さんたちの足のために、既成の靴ではありますが、ベストのサイズを選んで差し上げたい。より高いフィット感を得られるよう、インソールも適宜お勧めしています」。


東京都立川市曙町2−11−2 フロム中武2F
TEL::042−548−4120 







主力は5割を占めるベビースニーカータイプが売れ筋

 そごう横浜店8階は、全体が子供服・子供靴・制服など子供関連の売場になっている。その中ほどに、約25坪の子供靴売場がある。
 子供靴はベビー、キッズ、ジュニアの3つのカテゴリーから成り、主力はベビー(約50%)とキッズ(約40%)。なかでもベビーの中のファーストシューズが群を抜いている。売れ筋はアシックス、ニューバランス、ナイキなどのスニーカータイプだ。

 「アシックスはママたちのクチコミで広がっています。お子さまの成長や歩き方に合わせた靴づくりをしているブランドなので信頼度が高いです。20代のママには、親子おそろいでニューバランスを履かせたいという方が多くいます」(営業1部こども課こども用品/玩具係 木下善裕 販売係長)。
 ジュニアシューズになると運動会ニーズがあり、「速く走れる靴を」と来店する男子が多い。人気商品はアシックスの「トップスピード」とミズノの「スピードマッハ」。とくに「スピードマッハ」は、甲の高さを低くしてグリップ力の高いソールを採用、固めのシャンク(土踏まず部分のパーツ)が体をしっかり支えるようになっていて、大人のランニングシューズ顔負け。
 おしゃれな女子に人気なのは、「エミュー」のムートンブーツやアシックスのディズニーコラボの靴。また期間限定だが、「マイケルコース」や「トミーヒルフィガー」のジュニアシューズのコーナーもあり、大人靴そのままの洗練されたデザインで大人気だ。


成長を記録する「てくてく手帳」を配布

 そごう横浜店の子供靴売場は、週末になると1日に100人以上の来店がある繁盛店。開店時には10人以上の列ができていることもしばしばで、そのため3年前から受付をデジタル化し、「待ち時間の見える化」を心がけている。「計測・試しばき」のケースは接客時間が長く、「計測なし」「下取り」の場合は短時間ですむため、あらかじめ目的がわかっていれば待ち時間を短縮できる。
 「接客は、専用ゲージで足を計測することからスタートします。ファーストシューズの場合、赤ちゃんの足はまん丸で癖もあるので、開口部が大きく足入れのしやすい靴がお勧めです。踵が固く安定したもので、できるだけミドルカットのものが、安定して歩いてもらうためにいいと思います」。
 売場では親御さんに「てくてく手帳」を渡している。サイズと「次に測るのは○月ごろ」(3歳児までは3カ月ごとの測定が目安)、また購入した靴などを記入。「親御さんは成長の記録として身長や体重の数字には敏感だが、靴のサイズの変化には気づいてもらえない」という幼稚園の先生の言葉が、配布のきっかけとなった。靴選びのポイントも、ていねいに記載されている。
 スタッフも充実していて、シューフィッターが3名在籍し、うち2名が「幼児子供専門コース」を受講済みだ。お子さんを持つスタッフも多く、子供の接客にも慣れている。
 「これからは、HPからも整理券を発行できるシステムを考えたい」と木下さん。シューフィッターを予約する人も多いため、なるべく平日にゆっくり接客できるようにしたい」と心を砕く。


神奈川県横浜市西区高島2−18―1
TEL:045・465・5675