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バッグ企業 山藤(やまとう) キャンピングカーの出張ショップを開始

オリジナル販売を目指し、2店舗の直営店を出店

 1899年創業の革財布製造販売会社である山藤。今までOEMメーカーとして、数多くのブランドに製品を提供しつづけてきた。ここ5年あまりの間に、オリジナルブランド「PTAH(プタハ)」や「aqua(アクア)」などを充実させ、直販を目指してきた。
7年前には東京・人形町で初の路面店「ウォレテリア山藤」をオープンした。続いて2年後には神楽坂にも2号店をオープンした。財布だけでなく、バッグや革小物、カラフルなスカーフなど、服飾雑貨のトータルなセレクトが好評となっている。
3年前のコロナ禍では売上げに急ブレーキがかかったものの、固定客の来店を早々と予約制に切り替え、安心安全を心がけながらユーザーとのコミュニケーションを深めてきた。並行して、これまでのオリジナル製品のオンライン販売にも力を入れてきた。
 この秋に新たな試みをスタートさせている。「エアストリーム」というクラシックなキャンピングカーを購入・改装し、内部をショップ風にリニューアル。期間限定で全国各地を回るというプランを立て、この秋、まずは静岡・沼津市を皮切りに移動販売をスタートさせた。



キャンピングカーで移動販売にチャレンジ

「コロナを経て、お客さまと直接つながるEC販売が増えましたが、オンラインで完結するコミュニケーションでは、私たちの革財布の面白さが伝わりにくい。山藤ファンが徐々に全国に増えてきたこともあり、店舗での待ちの姿勢だけでなく、お客さまの元へ会いに行ったらいいのでは≠ニ思い立ちました」(山本浩司社長)。
移動販売を始めるに際しては、社長自身がけん引免許≠取得するところから始め、1968年製のキャンピングカーを改装した。1回目のイベント実施は10月27〜29日の3日間、普段から山藤のファンであった沼津のセレクトショップ「ミッション・ベイ」の駐車場を借りて開催した。
イベントはSNSで告知をし、当日は300人ほどの来店があった。会場では、メンテナンスや修理の相談会、刻印した革ステッカーのサービス、さらにワークショップなども実施し、ユーザーと作り手とのコミュニケーションの場を設けた。中には「こんなにエイジングしました」と、使用中の財布を見せに来てくれる人もいた。
「帰りがけのお客さまからは『また来年も来てくれますよね』といった声もかけられました。直接お客さまの声を聴くことができ、大変有意義な場となりました」と山本社長は語る。
 次回の出張先は決まっていないが、「地方の街の中に出かけていって、そこの景色の一部になるような販売ができれば嬉しい」と、今後もじっくりと移動販売事業に取り組みたいという。