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特集 コンフォートで熱くなる

 ドイツ健康館 赤い靴 (横浜・元町)


コロナが開け、60代主力のリピーターが戻ってきた

トレイルラン用のスニーカーコーナーを設置

 「赤い靴」はドイツコンフォートシューズを日本に導入した草分け的な存在であり、横浜・元町で健康靴を扱うようになってから約30年になる。じっくり足を見て測定し、製作するインソールの評価は高く、来店客の7割がリピーターだという。
 店頭に並ぶのは「ガンター」「フィンコンフォート」(ドイツ)、細身の足に適した「シュナイダー」(スイス)、人気の「シンク」「レジェロ」(オーストリア)、自社で革から作り込み、味のある商品を提案している「ピコリノス」(スペイン)など国際色豊かな靴たちだ。
 「『アラ』(ドイツ)は、健康靴であるだけでなく、ファッションと履き心地を楽しむことができる、いわばライトコンフォート的なブランドで、よく売れています。問屋さんがインスタグラムなどSNSに力を入れているのも、奏功しているようです。『シンク』の花柄型押しのブーツも人気です」(芦沢卓人 店舗統括マネージャー)。
 店奥を改装して、スニーカーのコーナーを設けた。扱っているのはスウェーデンの「アイスバグ」で、トレイルラン用のスニーカー。厚底でがっちりと大地をとらえ、滑らないところが売り。「ランニング系は大手スニーカーブランドが強いので、トレイルランに注目しているメーカーが多い」のだそうだ。もう一つはドイツの「ジョーニンブル」で、つま先にゆとりを持たせて指先を解放し、ソールがほぼ平ら(ゼロドロップ)で踵に体重を乗せやすい。スニーカーには、今後も力を入れていく計画だ。
 このほか「コンフォルマ」や「グーテヴァール」など日本製のコンフォートブランドも入れている。

靴価格はあがっているが3万円台前半までは堅調

 長引く円安やウクライナ戦争の影響もあり、インポートシューズは軒並み価格が上がっている。輸入先のドイツもインフレで苦しんでおり、材料費の高騰もあって靴の価格は上昇気味だ。赤い靴の感覚では「全体的に3000円くらい上昇している」というが、影響はそれほど出ていない。
 「3万円台前半くらいまでが良いようです。フィンコンフォートやレジェロは若干高くなるが堅調です。レジェロは細身の踵や土踏まずのフィット感などの良さをどうお客さまに伝えるかが、スタッフの腕の見せ所となっています」。
 顧客の信頼は厚く、7割がリピーター。顧客層は40~80代と幅広いが、60代が中心となる。「もう少し若いお客さまも取り込みたい」とも考えていて、そのためにちょうどファッショナブルな「アラ」や「ピコリノス」が入り口商品になっている。「40代後半は足に違和感を覚える、ちょうど入り口に当たります。そこからしっかり取り組んでいければ」と、芦沢マネージャーは考える。
 リピーターの頻度はさまざまで、シーズンごとに来店するお客もいる。ほぼ1年に1度、3~4年に1度のケースが多く、中には「12年ぶりに来た」という方も。
 「最近は、コロナの間は来ていなかった、という方が多いですね。4年ぶりのご来店ということでしょうか。慎重だった方々が安心してようやく動き出したようです。今年は本当のコロナ開けとなって、多くの人たちがもっと動くようになるのでは」。



接客体験を通して新たな商品を提案

 少し心配なのは、コンフォートシューズがジャンルの異なるスニーカー類に押さえられつつあることだ。機能を持たせたスニーカーも増えている。そして、何でもECで買える時代に、店舗のありかたとは何かを考える。
 「接客体験しかないのかも。実際に足を見てもらい、思いもしなかった提案をされる。私たちは本人が思っている以上を提案できる。欲しいものがあるお店になるのではなく、お客さまの予想を越えて、それ以上の商品を販売していく。それが一つのポイントになるのではないかと思います」。

横浜市中区元町3‒132
TEL:︎045・664・2113