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特集 コンフォートで熱くなる

 アルプスシューズ (東京・巣鴨)



ファッション性もあるスニーカーで若い新規客層を開拓

軽く〝手を使わなくても履ける〟がヒット

 中高年の女性に人気の東京・巣鴨のとげぬき地蔵通り。「アルプスシューズ」はその通り沿いにある路面店だ。小林徹司社長はシューフィッターの最高位「マスターオブシューフィッター」を持つフィッティングのプロフェッショナルで、足にトラブルを抱える地元の人たちを支えている。
 顧客層は小林社長自ら「ノンエージ」というほど幅広く、品ぞろえもまた幅広い。「フィンコンフォート」「グーテヴァール」などコンフォートシューズのそばに、「ヨネックス」「アサヒフットケア」など国産のウォーキングシューズが並ぶ。また「フィズリーン」「サロンドグレー」「フットジョイ」のようなきれいめで機能的な婦人靴も置く。コーナーごとにさまざまな展開があって、飽きさせない。
 ひときわ目を引くのが、入口の右側に大きく取られた「オン」のコーナーだ。
 「これまで革のカジュアルシューズを履いていた女性たちが、履きよさやファッション性からかスニーカーを履くようになりました。『オン』はおしゃれに履けて、シューレースがゴムのために脱ぎ履きがしやすく、人気が高いです。取り組みを始めて8年になりますが、近年ブランド認知度も上がってきました。インバウンドのニーズも高く、近所のホテルに宿泊している外国人の方が入ってきて購入されていくケースも増えています」(小林徹司社長)。
 アルプスシューズでは「オン」のデイリーを主力にしている。ほぼタウンシューズとして履かれているからだ。カウンターもしっかりしていて、軽く、フィット感がいい。
 オンの人気ポイントの一つが「すぐ履ける」こと。同様の理由で、「スケッチャーズ」の「スリップ・インズ」も売れている。
 このほか、以前からの売れ筋だった革のカジュアルシューズも依然として人気が高い。「フィットジョイ」は、ビジューなどワンポイントがあってなかなかおしゃれ。シープスキンを使って軽さも出している。


「オン」や「スケッチャーズ」の1万円台が好評

 アルプスシューズはこの地にオープンして50年以上になり、数多くのリピーターを抱えている。来店客のほぼ半数がリピーター。リピート期間はシーズンごと、年に1度などバラバラだが、このところコロナ前のお客が「久しぶり」と来店することが多くなってきた。
靴の価格も上がり、ことに円安の影響を受けるインポートシューズは苦しい。その一方でオンやスケッチャーズが好調なのは、価格的に1万円台に収まっているということもある。このスニーカー類は、新しい顧客を開拓するのにも大きな役割を果たしている。20代、30代の若い層の入店が目立つようになったおり、確実に顧客層は広がっている。

ていねいなフィッティングが接客の基本

 オンもスケッチャーズのスリップ・インズも、導入は「巣鴨にピッタリ」と思ったからだ。シニアの女性は、小柄で体重が軽く、歩幅も狭い人が多い。また。リウマチなどの病気で体がうまく曲げられなくなってしまった人や、足に手の届かなくなってしまった人もいる。その人たちには、軽く履きやすく、手を使わなくても履ける靴はありがたい。
 「ただし」と、小林社長はいう。「ニットスニーカーは履き心地が優しいし、外反母趾にも対処しやすい。でも、健康に歩ける人には、そうそう必要はないのです。靴の基本はコンフォートシューズのようにカウンターのしっかりした少し重いヒモ靴。本当はこちらを履いてほしい」。
 スニーカーがミドルからシニア層にまで広く浸透してきた現在、ネットでも気軽に購入できる。だが、アルプスシューズではお客の足をみてフィッティング販売を行っている。店奥にはフィッティングのスペースを取り、きちんと対応している。
 「いろいろなことをお客さまにお伝えしていきたいです。自分のポリシーで靴を販売していくことが大切だと思っています」。

東京都豊島区巣鴨3-18―17
TEL:03・3949・0086