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地域専門店 シューズブティック ナナ(千葉・野田市)

60代から80代を巧みにもてなし、賑わう婦人靴専門店


一味違ったデザインの靴で顧客を引き付ける

 埼玉のターミナル大宮駅からアーバンパークラインに乗って30分あまりで、野田市駅に到着する。ここから徒歩15分ほどのところに「イオンNOA」があり、婦人靴専門店「シューズブティック ナナ」はこの2階に約14坪の店舗を構える。モールは現在改装中で、6月にリニューアルオープンとなる。
 シューズブティック ナナのオープンは1989年で、地元商店会がイオンNOAの開店時に入居した際に同店も移転、今年で35年を迎える。同じ2階には大面積の「グリーンボックス」が入っており、そばの空きスペースを活用して靴のセールを行っていた。厳しい周辺環境だが、ナナは客足の絶えない繁盛店だ。
 ショップの特色は、「おっ」と思わせるデザインの靴があることだ。「agile」(ルコライン)のハイカットスニーカーは、履き口やかかと部分にワンポイントが入っていて、おしゃれ。スカートやワンピースにも合わせられる。サンダルの売れ筋は大阪・生野のメーカーが出している「ポポラーレ」(ポポラーレ)だ。厚底サンダルで、アッパーには大きなリボンがついているなど、独特なデザインが特徴だ。
こうしたちょっとした刺しゅう、パッチワーク、花柄モチーフなどが女性たちの心をくすぐる。価格がだいたい1万円以下というのも、値ごろ感がある。ブランド数は30を越えるそうで、そのセンスは小林ユキ店主の感性によるところが大きい。「ほかではなかなかお目にかかれない」ブランドをよく吟味し、店頭に置いている。
 「当初は展示会に行っていましたが、現在はネットで発注することも。来店されて『あら変わった靴があるわ』とおっしゃる方が多いです。日本製のサンダルはほかではあまり扱っていないので、とても好評です」(小林オーナー)。
 靴を中心に、アクセサリー、ウエア、バッグも置き、ワンストップで楽しく買い物ができるように工夫されている。



顧客を「お嬢さん」と呼ぶ接客のうまさ

 シューズブティック ナナの顧客層は60代から80代くらいまでの、いわゆるアクティブシニアと呼ばれる人たちで、おしゃれで生活に余裕のある人が多いという。地元ばかりでなく、遠く茨城や埼玉からも来店があるそうだ。
小林オーナーの接客のうまさもあるようだ。
 「みのもんたさんと同じで、お客さまを『お嬢さん』とお呼びするんです。悪い気はしませんよ。大体喜ばれます。シューフィッターの資格も持っていますので、お客さまの足を拝見すれば、『この靴が合う』とわかります。失敗がないといわれています」。
 こうした接客やフィッティングにより、リピーターが多いのだ。ほとんどが30年来の顧客で、小林オーナーとは長いお付き合い。そのため、友人のようにさまざまなことを語り合う。「昨日主人が検査入院してね」など家族のこともあれば、「82歳の誕生日なの!」と抱き合って喜ぶことも。手みやげをもってお店に来るお客もいる。夕刻になると近所の80代の女性たちが毎日集まり、おしゃべりに花を咲かせる。
 「大切なことは笑顔。そしてお客さまが逆に『ありがとう』と言ってくださる接客です。長いおつきあいですがお友達感覚ではなく、その方に合ったお話しを心がけています。みなさん、『ここがなくなったら買うところがないわ』といわれるので、やれる限りお店を続けていきたいです。お客さまが応援してくださっているのです」。
 アパレルブティックではサロンのように顧客たちをもてなしているが、同店もまさにブティックの名にふさわしい、一流の接客である。

千葉県野田市中根36-1 イオンノア店2F
TEL:04・7125・8255