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コンフォートで生きる 靴のヨリズミ(神奈川・伊勢原市)

もうすぐ創業100年。履きやすさと修理でリピーター獲得


「ミズノスポーツ」と「アキレスソルボ」が人気

 小田急線伊勢原駅から徒歩3分ほどのところに、「靴のヨリズミ」がある。創業は1926年(昭和元年)で、もうすぐ100年になろうという老舗だ。70年代ごろにオーダー靴から既成靴の販売に切り替え、現在は「ミズノスポーツ」「アキレスソルボ」を中心に、「パンジー」「ニューバランス」「リーガル」「菊地の靴」などを販売している。
ことに好評なのは「ミズノスポーツ」で、10年前から取り組み、コロナ禍の時期でも伸び続け数多くの顧客を獲得した。「ミズノエナジー」は高反発素材のソールを搭載していて歩きやすく、価格も1万円台と手ごろ。
 「アキレスソルボは人工筋肉『ソルボセイン』が入っていることで有名ですが、それよりも木型がよく、それが履き心地の良さにつながっているのだと思います。一般には23㎝くらいを基準として大小のサイズを決めていくのでしょうが、アキレスソルボはサイズごとの足型データを基に木型をつくっているように思えます。こちらも多くのリピーターがついています」(頼住博之代表)。
 「軽くて履きやすい」アキレスソルボだが、円安の影響で価格が上がって2万円台になってしまったのが悩みの種。ただし、「多少値が張ってもよいものを」と求める顧客が多いという。



8割は加工、調整して販売修理や靴クリーニングも

 顧客は地元伊勢原を始め、厚木、平塚など神奈川県全域から訪れる。頼住代表は、シューフィッターの上位資格である「バチェラーオブシューフィッティング」の持ち主で、フィッティング力には定評があり、来店客のほとんどがリピーター。
 「まずニーズをお聞きして、一番履きやすいものをお勧めします。外反母趾やウオノメなど足のトラブルを抱えた方や、左右差のある方も少なくありません。お客さまの8割は何かしら加工、調整したいへん喜ばれています」。
 お買い上げの際には「不具合がございましたら、無料で調整します」とのメッセージを書いたチラシを同梱している。オーダーの中敷き「ドーラ」の取り扱いも始めた。足のトラブルのさまざまなケースに対応できる。靴が足に合っていることが前提で、ミズノの靴とセットで購入されることが多い。
 「靴のヨリズミ」のもう一つの特色が、5年ほど前から子息の直樹さんが手がけている靴修理だ。店奥にコーナーがあり、革漉き機、八方ミシン、メンディングマシーンなどをそろえ、さまざまな修理を行う。最も多いのがリフトの交換で、スニーカーのクリーニングも好評だ。こちらは3850円。
同店ではもともと修理を行っていたが、それを引き継いでうまく発展させた形となった。革靴のつま先に金具をつけるなども行っている。コロナ禍の際はやはり来店客は減少したが、修理の持ち込みはそれほどでもなく、ショップを支える一つの柱となった。
 直樹さんはシューケア方面の知識も豊富だ。「サフィールノワール」のクリームを、百貨店並みに14色もそろえている。各種のブラシ、リムーバーなどもあり、シューケア好きには飽きない品ぞろえ。もちろん店頭で「お磨き」も行う。



新規顧客獲得のためにラインも活用

 「顧客層は団塊の世代が中心」と頼住代表は言う。もっと若い層を獲得するためにラインを使って販促、ラインでのショップカードでポイントがたまるようになっている。
 「今後はリピーターさんを中心に考えていきます。修理やクリーニングにも力を入れていく計画です」(頼住代表)。
 「こんなことをしてみたいと、新しいこともいろいろ構想しています」(直樹さん)
 靴のヨリズミの強みは、やはり親子2代で店頭を守り、新たな可能性を切り開こうとしていることだろう。

神奈川県伊勢原市1-3-18
TEL:0463・93・3341