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![]() デザイン性と機能性を併せ持つ靴を 「フィットフィット」が立ち上げられたのは2011年3月のことである。DoCLASSE(ドゥクラッセ)の林恵子代表が「外反母趾にもやさしい靴をつくりたい」と、靴デザイナーに声をかけたのがきっかけだった。当時は外反母趾のためにおしゃれをあきらめる女性がまだ多く、「デザイン性と機能性を併せ持つ靴をつくる」ことをコンセプトに靴づくりが始まった。 基本的な機能は①親指を開放する木型(センターラインを親指寄りに振った足なり設計) ②独自のつま先設計(親指側を高く、小指側を低く設計)③ソールの開発(前足部からかかとまで一体となった「3in 1ソール」)の3つで、ぶれることなく現在まで続いている。 ![]() 「撥水バイカラーパンプス2」(撥水加工×軽量ストレッチ×スクエアトウ)は、特徴が際立った商品ではなかったが、「365日中350日履ける靴」としてよく売れた。ハレの日にも、普通の日にも履けて、オフィスで仕事もでき、自転車に乗って子供のお迎えにも行ける、そんな靴が求められていたのだ。 「マーケットイン」を基本とする商品開発 「社の方針として、『マーケットインの商品を届けたい』ということがあります。履いていただくお客さまにちょうどいい靴をつくり続けたいのです。そのために、新作を出そうとするときにメルマガの会員さまから『どちらがいいですか』などアンケートを募ったり、ショップスタッフからお客さまの声をあげてもらったりしています。お客さまの声は、主に新製品に生かされています」( PR/バチェラーオブシューフィッティング 菅野莉緒さん)。 ![]() フィットフィットが今最も力を入れているのが、この「マーケットイン」の製品開発なのだ。 「11年のスタートから時間がたち、当初ターゲットにしていた40~50代の方々だけではなく、より広い層の女性に履いてもらいたいという思いがあります。現代の女性は、本当にアクティブに毎日を過ごしている方が多い。だからこそ1足で何役もこなせる靴が必要なのです」。 そうして開発されたのが「撥水ハンズフリースニーカー」である。コロナ禍が去った後、市場は外国ブランドのスニーカーに席巻されていた。だがフィットフィットは独自の「マーケットイン」の発想を崩さず、商品開発を進めていった。「スポーティーなスニーカーが苦手な人もいる、さりげなく女性らしさを載せていこう」と考えたのだ。 エナメルと合皮のメッシュを使って、国際医療福祉大学三田病院と共同開発したインソールを採用した「バレエスニーカー」などを世に出し、その一環として「ハンズフリースニーカー」が生まれた。両手がふさがっている玄関先でさっと履ける便利なタイプで、全国的に支持を得ている。 ドゥクラッセのファンに支えられるEC売上げ ![]() 売上高はコロナ禍での閉店などの影響もあり、横ばいが続いている。しかし、ECの売上げは130%と伸びており、全体の35%を占めている。サイトはドゥクラッセ内のものと楽天やロコンドなど外部のものとがあるが、圧倒的に強いのがドゥクラッセのサイトで、昨年対比200%などという驚異的な数字をたたき出すこともある。フィットフィットは母体であるドゥクラッセのファンに支えられているといっていい。 多くの店舗にはシューフィッターが置かれ、会社では資格取得のための支援も行っている。上位クラスである「バチェラーオブシューフィッティング」の資格を持つスタッフもいて、店長向けのトレーニングも行う。 カスタマーサービスも充実している。コールセンターでは実際に靴を見ながら対応、ディテールを伝えていく。本社の近くにあってすぐに問い合わせができるのも強みだ。 全社で情報を共有し商品開発に役立てる ![]() あらゆる商品が値上がりする現在、フィットフィットはモノづくりの川上に自ら入り込むことで、より良い製品を求めやすい価格で販売できるように注力した。前秋冬では、原材料費などの高騰の影響を受け、粗利をキープするために、一部製品の値上げをせざるを得なかったが、値上げに見合う価格をセットで提供できずに厳しいシーズンとなってしまったためだ。
![]() テレビ通販では7分で9000足販売 「リゲッタ」の前身は、1968年大阪・生野で創設された「タカモトゴム工業所」である。広島の大手メーカーの下請けを主な生業としていたが、2000年の年末、「これからは中国生産に切り替える」というショッキングな一言を聞かされた。生存をかけ、行動を起こさざるを得なくなった。 ![]() それなら問屋に直接働きかけようと、東京にサンプルを送った。すると、ブーメランのように生野に戻ってきて、またコピーがつくられてしまった。 「リゲッタ」は、こうしたコピーとの闘いと苦悩の中で立ち上げられたブランドである。発注を切られてから5年後の、05年のことであった。「ゲタをもう一度」というユニークなコンセプトのもと、フットベッドを採用、歩きやすいローリング効果を出した。価格は4980円。早々に大手量販店より7500足の発注があり、なんと2週間で売り切れ、家族は沸いた。だが翌年の発注が来ない。店舗を見に行ってみると、2980円でコピー品が作られていた。 悪循環を断ち切るきっかけとなったのが、ギフトショーへの出展だった。費用もかかることなので、「これであかんかったら、廃業する」覚悟であった。 「ところが、反響がすごかったのです。大手通販のバイヤーが何人も来てくれて、通販カタログに取り上げられ、続いてテレビ通販でも販売することができました。モノづくりのストーリーを紹介できたのも、よかったですね。7分間のオンエアで9000足も売れたこともありました」。 リゲッタは認知度を上げ、生産量も増えていった。高本代表のすごいところは、あれほどコピーで悩まされた生野の企業を生産基盤としていることだ。今やリゲッタは生野の靴づくりを支える大切なブランドとなっている。 ![]() ![]() コロナ禍の苦境を救ったインソールの販売 2019年、シューズミニッシュは「リゲッタ」に社名変更し、年商約17億円をあげるまでに成長していた。だが、そこにコロナ禍が襲いかかる。「お出かけできない」ために、テレビ通販で靴が取り上げられることが少なくなっていった。ルームシューズを提案してヒットもしたが、売上げは戻らなかった。そこに、一つの救いが登場した。インソールである。 「ある社員が、ドラッグストアさんに営業に行っていいですかと聞いてきました。大手ドラッグストアを回り、すぐ採用になっていったんです。さらに、ワークマンさんにも採用され、現在では全国1万2000店舗に置かれています。伊丹空港の売店では1ヵ月300個販売というレコードを達成しました。リゲッタの認知度の高さが生きたのですね。インソールは1500円程度と安い。でも、これが導線になってまた靴に戻ってきてくれると期待しています」。 ここ数年、売上げは14~15億円くらい。販売チャネルの割合は、B to B(通販・小売)で7割、ECで2割、直営店1割となっている。店舗展開は、ABCマートやムラサキスポーツなど靴を置いてくれる店舗(卸店舗)は全国に約300店、屋号を「リゲッタ」とし、商品もリゲッタに絞っているパートナーショップは4店舗、直営店はリゲッタ生野本店、リゲッタなんばパークス店、RegettaCanoe(リゲッタカヌー)中崎町店、RegettaCanoe自由が丘店の4店舗となっている。 生野の風土から生まれたリゲッタの形 「リゲッタ」「リゲッタカヌー」「ツヴォル」などが主要ブランド。そのスタートは、高本代表からである。 「お客さまの顔を想像し、ノートに書いて夢に見るまで考える。その時間は楽しいですね。ぱっと思いつくのは、旅行や家族団らんのとき。8割のビジョンが浮かんだとき、木型を削り始めます。ラスト、アウトソール、インソールを削り、パテも使ってモックアップ(実物大の模型)をつくる。それから専門家に渡して正規サイズの模型や図面をつくってもらい、デザインチームが受け継いでいきます」。 「リゲッタ」や「リゲッタカヌー」のコロンとした形は可愛らしく特徴的だが、この形は生野でなければ生まれなかった。生野の職人は「阿修羅のように」手を動かしてすばらしいスピードで仕事をするが、ときに靴底から糊がはみ出てしまうことがある。「質より量」という風土なのだが、どうやったら防げるのか。思いついたのが「壁をつくればいい」ということだった。つま先やかかとをガードするように、アウトソールをフットベッドから少し高くする。それはクロックスやビルケンシュトックの流れとも相まって、リゲッタのヒットにつながっていった。 リゲッタは、海外でも販売されている。自社で開拓したわけではなく、日本を訪れたバイヤーの目に留まり、シンガポール、台湾、マレーシア、カンボジア、ブータンなど東南アジアを中心に売られている。インドでは「自国で生産できるものは輸入してはいけない」という縛りがあるため販売できず、インドで生産して販売することを考えている。海外での生産・販売はコロナ禍でいったん停止、現在徐々に再開されてきたところだ。 真摯にモノづくりして、カッコよく売りたい ![]() 直営店はいずれも昨対を超える売上げを上げ、予算も超えだした。現場から「直営店を増やしたら」という声も上がっている。また、商品のクオリティや独自性も見直したい。「本心はカッコよく売りたい。真摯にモノづくりをしつつ、バラエティ豊かに販売したい」と考える。さまざまな試練を創意工夫で乗り越えてきたリゲッタは、コロナ禍の去った今、第二創業期ともいえる時期を迎えている。
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